鳩の翼(上) (講談社文芸文庫)
鳩の翼(上) (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
ケイ
中学の時に読んで以来。それでも結末はよく覚えているので、色んな伏線が目につき、心が揺れる。アメリカ生まれでフランスを経てイギリスに住み着いた作者だからこその描写。プルーストがフランスの社交界を描くのに娼婦や同性愛を持ち出したが、ヘンリー・ジェイムスは、アメリカとイギリスの美しい娘の間に魅力的だが貧しい青年を挟ませて、イギリス社交界のいやらしさを描く。美しい女性の後ろにいる大人の女性たちの心の醜さや浅慮が見ていられない。
2016/01/11
扉のこちら側
2016年80冊め。【111-1/G1000】アメリカとイギリスの美しい娘達と、貧しい青年の三角関係。主たる舞台がアメリカではなくイギリス社交界に置いたところで、彼女たちの思いとは違うところで動く大人たちの思惑が絡まってくる。ミリーとケイトがその胸の内で何を思っているのかほとんど語られない上巻。下巻はどうなるのか。【第8回G1000チャレンジ】
2016/02/07
NAO
冒頭から、自分勝手で酷薄なケイトの父と姉にうんざり。さらに、ロンドンにやって来た財産はあるけれども病弱なアメリカ人女性ミリーを巡って、生々しく描き出されるイギリスの社交界の醜さにもうんざり。ガーディアン必読書でなかったら、途中放棄したいところ。ケイトの美しさは何度も詳細に描かれていのにミリーが本当に美しいのかどうかは実は書かれてはいないところや、心理描写がやたらと多く、なのになぜかミリーとケイトの本心が見えないところは、ヘンリー・ジェイムズならではなのだろうが、読みにくい。
2016/04/22
キムチ27
すらすら読めない。訳のせいかと音読・・やはり翻訳臭が強い日本語だ。でも内容は現実味があり、ベールのようにロマン要素が覆っている。英国人ジャーナリストデンジャーに思いを寄せる2人の女性。ミリーは長く生きられぬ運命を背負い、ケイトは美貌と英断の持ち主。三角関係の展開ながらミリーの恋情には抑制を感じる。一方ケイトには伯爵夫人がついており、経済的落魄故、貧しいデンジャーとの姪の行方の為、ミリーの莫大な財産に食指を伸ばす。3人はボストン・ロンドン・ヴェニスへ舞台を移して行く。心情の描きについて行くだけ必至。
2014/01/26
きゃれら
確か小谷野敦氏の著書で推薦されて手に取ったはずで20年以上ぶりの再読。感銘を受けたという記憶に違わず、こんなに面白かったんだ、と感動。心理描写の精緻さは普通読んでてイライラするおそれもあるけれど、今回は逆にページをめくる手が止まらないほど惹きつけられた。シチュエーション的には、とても俗っぽく醜悪とも言えそうな結末も想定せざるを得ないのだけど、果たして結末はどうなっていくのか。自分の忘却力に感謝。(笑)
2022/07/11
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