KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

存在のすべてを

存在のすべてを

存在のすべてを

作家
塩田武士
出版社
朝日新聞出版
発売日
2023-09-07
ISBN
9784022519320
amazonで購入する Kindle版を購入する

「存在のすべてを」のおすすめレビュー

ダ・ヴィンチ編集部が選んだ「今月のプラチナ本」は、塩田武士『存在のすべてを』

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年12月号からの転載になります。

『存在のすべてを』

●あらすじ● 平成3年に神奈川県で起きた二児同時誘拐事件。その30年後、当時事件を担当していた新聞記者の門田は知人の刑事の訃報をきっかけに、誘拐事件の被害男児が人気の画家になったことを知る。多くの謎を残したまま時効を迎えた事件にけじめをつけるため、門田は関係者への再調査を開始。日本各地を回り、地道な取材を続ける中、たびたび耳にしたのはある写実画家の名前だった――。

しおた・たけし●1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。『罪の声』で山田風太郎賞受賞、「『週刊文春』ミステリーベスト10 2016」国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に。『歪んだ波紋』で吉川英治文学新人賞受賞。著書に『騙し絵の牙』『デルタの羊』など多数。

塩田武士朝日新聞出版 2090円(税込) 写真=首藤幹夫

編集部寸評  

折り重なる問いが導き出すクライマックス 「ちゃんとした理由なんてないんだよ。どっちで暮らすかなんか」。渦中の人物が…

2023/11/6

全文を読む

児童虐待の相談は年間20万件以上。『罪の声』作者・塩田武士が描く、児童誘拐された少年の空白の3年間の意味

『存在のすべてを』(塩田武士/朝日新聞出版)

 重厚長大な書物とはこういう本の為にあるような言葉だ。塩田武士『存在のすべてを』(朝日新聞出版)は、上質のミステリ小説でありながら、同時に、ミステリの定石を次々に覆していくような、志の高さと射程の長さが感じられる傑作である。塩田氏の代表作と言えば、第7回山田風太郎賞を受賞した『罪の声』(2016年)が度々挙がるが、子供が事件に巻き込まれる、という意味で同作と『存在のすべてを』には連続性がある。両作を読み比べてみるのも一興だろう。

 多面的な魅力を備えている本書だが、なんといっても設定の面白さに舌を巻く。まず、別々の場所で2人の児童が同時に誘拐されたら、という着想からして冴えている。誘拐を題材にした小説にはある程度定型があるが、塩田氏はそこをひとひねりしている。警察が最初の事件を「おとり」にして、ふたつ目の事件を解決しようとする展開も斬新だ。だが、2件目の事件では、警察の判断ミスによって犯人を取り逃す。被害当時4歳だった亮は行方不明になるが、3年後、彼の両親ではなく祖父母のもとに突如戻ってくる。

 実際に3年…

2023/10/28

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

存在のすべてを / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

パトラッシュ

事件と犯人と捜査を描く通常のミステリに対し、塩田さんは事件に巻き込まれ運命が狂った群像劇を主題とする。未解決に終わった二児同時誘拐事件から30年後、被害者のひとりが画家になったことから若き日に事件を取材した記者が再調査を始め、停まっていた時間が動き出す。思いがけず誘拐された子を預かってしまった夫婦が、情が移った子供を慈しんで育てる前半は息苦しいほどに読ませる。その夫婦をはじめ関わった人びとは、口外できない秘密を抱え必死に生きていく。彼らの苦しさ、切なさが収束していくラストの光景は、まさに魂のドラマなのだ。

2023/10/05

旅するランナー

30年前に起こった二児同時誘拐事件と、写実絵画を取り巻く画壇の内情を遡って取材する中で見えてくる接点。そこにある深い事情、その衝撃に涙なくして読み続けられません。横浜·滋賀·北海道と痕跡を辿りながら、松本清張小説に匹敵するような深い人間ドラマが展開されます。塩田武士という小説家の存在に、読書家としてすべての感謝を捧げます。

2023/11/19

fwhd8325

誘拐事件が発端でありながら、事件を追及する楽しみ以外の要素が大きく存在を誇示していく。とても感動的な物語でした。鏤められた社会の闇が、物語を一層高めています。なかなか言葉で表現できませんが、とても心地よい気持ちです。

2023/12/06

hirokun

★4 神奈川二児同時誘拐事件をテーマにした犯罪小説なのかと思って読み始めたが、途中から写実絵画、子供へのネグレクト、家族愛、青春恋愛、美術界の裏幕など様々な要素を含みながら、最後は切ないストーリーを展開している。私の表現力がないため、この作品を読んでの感想がうまく伝えられないのが残念。

2023/10/11

いつでも母さん

二児同時誘拐事件・・これまた塩田さんがキツイのを読ませるのねと思った自分を殴ってやりたい。『どうかあの子が幸せな人生を歩めますようにー。』これは紛れもなく真実の家族の話。揺るぎない愛の物語だった。何処へたどり着くのか不安で、逃げてよと私の気持ちも昂るのだ。ーみんなといっしょで ずっとくらしたいーこんなにも切なくて温かい七夕飾りの短冊に心底泣ける。真相が見えて来るまでちょっとの我慢。どうぞどうぞ、沢山の方に読んでいただきたい。お薦めです。

2023/10/02

感想・レビューをもっと見る