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深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)

作家
遠藤周作
出版社
講談社
発売日
1996-06-13
ISBN
9784062632577
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深い河 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

登場人物のみんながそれぞれに深い孤独を抱え込んでいる。妻を失った磯辺、愛を信じられない美津子、ビルマでの過去から逃れられない木口、そして「あの人」を求め続ける大津。ラストシーンはあまりにも辛い。こんな終り方をするなんてと思う。美津子は、あるいはマザーテレサのもとに向うのだろうか。大津は?他のインドに召命された者たちは?「河に来る者の一人一人がそれぞれに蠍に刺され、コブラに噛まれた女神チャームンターの過去を持っている」のだろうか?人間存在の、そして愛の根幹を問う遠藤周作の汎神論をも許容するかのような問いだ。

2013/06/08

Die-Go

遠藤周作祭り第1弾。再読。インド、ガンジス河を舞台に様々な人々の人間観の物語。ここで描かれたキリスト教観はある種の異端の香りを漂わせつつも、語られる物語には人間の悲哀と神の愛の真実が深く描かれている。★★★★☆

2016/03/11

Aya Murakami

図書館本。講談社文庫平成の100冊対象本。 生まれ変わりとキリストの復活を絡めた日本向けキリスト教の話…かな?人の心の中に生き続けるイエスキリストというテーマは死海のほとりでも取り上げられていたような…?仏教だったりヒンドゥー教だったりイスラム教だったりと姿を変えながら人の心に点在し続けるイエスキリストはいわゆる異教徒の自分にとっても素敵な存在でした。 後、人肉がらみのトラウマに苦しめられる登場人物が隣にいてくれる誰かに救われるシーンもじわっときました。

2018/12/11

遥かなる想い

遠藤周作の 晩年のころの 作品。 作品自体は、三島由紀夫『豊饒の海』を 想起させる 輪廻転生を 予想させる始まりから、やがて 遠藤周作らしい宗教を 軸にした 物語へと 展開していく。 この物語では、人生の意味を求めて インドへ 渡る 何人もの人が 登場するが、描写の重心は むしろ このインドへ 旅する人たちではなく、 - 「大津」という 神学生 にあるような 気がする。 私は、インドという国に行ったことがないので、よくわからないが、 魅せられる人は 魅せられるようである・・

kinkin

ガンジス河は生と死の入り混じった河のようだ。今まで背負ってきたものもろとも灰にして流されていく一方では沐浴をする人々。わたしも薄いながらも一応仏教徒であるもののふだん生活するうえではあまり宗教を意識しない。宗教というのは人生にとってどのような関わりかたが正しいのか正しくないのか、宗教や宗派の違いで人間どうしが殺し合う様子を見聞するとわからなくなる。その分からなさが生死というものに区別をつけずに飲み込むのが深い河というタイトルの所以か。あと10年、20年後生きていたとき読むとまた感じ方が違うのだと思う。

2015/04/08

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