夏服を着た女たち 新装版 (講談社文庫 し 17-9)
夏服を着た女たち 新装版 (講談社文庫 し 17-9) / 感想・レビュー
アン
初めて出会ったのは和田誠氏の装幀の単行本で学生の頃。素敵そうと思い、本に手を伸ばした時をよく覚えています。大人のお洒落な女性に憧れて。11月ニューヨーク5番街、微笑むような陽光に包まれた日曜の朝。美しい女性に目を奪われる夫と妻の軽妙で洒脱な会話が印象的な「夏服を着た女たち」。シャンソンの切ないメロディーが漂う「フランス風に」。凛とした女性の美しさを感じる「愁いを含んで、ほのかに甘く」。男女の悲哀をシニカルに描きつつ何故かほろりとしてしまう、私には色褪せない大切な思い出の一冊です。
2019/06/03
林 一歩
男女間の些細なすれ違い。その場では致命的でなくても近いうちに必ず破綻するカップルの機微を描く表題作。分かる人だけ分かってくれたら良いですが、テイチクやカップルズの頃のピチカートの世界観そのまんま。新訳として、それこそ柴田氏や村上氏が翻訳すれば好いのに。
2014/04/28
ビブリッサ
サクっと再読。都会的作風のアーウィン・ショーの代表作。悩みも喜びも感情が爆発するようなものじゃなくて、ぼんやりと不幸、おぼろな華やぎ。目の前の男性のこと私は好きだけど、彼との上っ面の会話に嘘が見えても糾弾なんかしない、だって生きてくってそういうことでしょう?悲しい悲しいと泣いて過ごすの?愛されたい愛して欲しいと縋りつくの?そんなの嫌!少し寒くても夏服をまとって綺麗な私でサヨナラしたい。だって、恋を終えるってそういうことでしょう?鷹は飢えても穂は摘まず、、、そゆこと。空虚でオシャレで前向きな一冊。
2017/04/11
セウテス
学生以来の再読。初読時は、ニューヨークという街の見慣れぬ景色をオシャレと感じ、女たちのわがままに怒しか湧きませんでした。あれから幾年か過ぎ、結婚と仕事、子育てと親の面倒、夫の日常と自分の日常が5:5の女たちを理解できる男になったのでしょうか。今読み直して、自分らしさを表現しようとする女たちは実は当たり前の主張をし、自分の人生と、出産、結婚、仕事等との選択を迫られる、この社会の難しさを『夏服をきた』というタイトルに表しているのが解ります。夏服のままでは、男たちとの別れを示唆する結末があるのですから。
2014/06/07
ほほほ
ニューヨークが舞台の短編集。華やかな大都会、お洒落な人たち、軽妙な会話。どのお話も、人生の悲哀みたいなものを、甘く切なく、皮肉まじりに小粋に書かれたものばかりでした。一昔前に流行った海外ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」でよく回想されていたような昔のニューヨークのイメージがそのままこの本の中にありました。実際、1930年代〜50年代に「ニューヨーカー」や「エスクァイア」に載ったものらしいです。こんな台風の日ではなくて、カフェのテラスとかで晴れた夏の日に読むと気分良さそう。いや、それはやりすぎかな(笑)
2014/08/10
感想・レビューをもっと見る