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とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 (講談社文庫)

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 (講談社文庫)

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 (講談社文庫)

作家
伊藤比呂美
出版社
講談社
発売日
2011-05-13
ISBN
9784062769235
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とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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メタボン

☆☆☆☆☆伊藤比呂美と出合ったのは学生の時で「雪」という詩。全然難しい言葉はなく、それでも立ち現れてくる豊饒なイマジネーションの世界に言葉の力強さを感じた。あれから30年以上経ち、再び出会った伊藤比呂美の言葉の世界は、中原中也や宮沢賢治、あらゆる日本の古典の言葉(声)を借りながら生・性・死・苦を「語る」圧倒的なポリフォニー。私が理想とする語り空間が繰り広げられていた。カリフォルニアと熊本との往還、折々詣でる巣鴨のとげ抜き地蔵、父母の介護、悩める娘への介抱、若き日の自らと重なる石牟礼道子、梁塵秘抄のあはれ。

2020/02/06

Yu。

“苦”を和らげるその不思議な表現力は凄いとしか言いようがない。。。離婚、再婚、そして米国暮らし…著者も50代に差し掛かろうという、ようやく生活が安定しかけた矢先に身内を襲う不幸の連鎖を彼女得意の“しろみ節”で呑み込んでいく詩交じりのエッセイ風物語。色々とあった人なのは分かるがこれ程までのをそう受け止められる幅の深さに敬称の念を抱きます。少し前に読んだのが20代の著者が奮闘するおもしろ育児エッセイなだけあり(一体どうした娘達!!)なおさら感慨深い。なので本作は『おなか ほっぺ おしり』と揃えて読んで欲しい。

2015/08/21

ハチアカデミー

B+ 語り手伊藤の脳裏に詰まった過剰な自意識が、バイリンガル言語(カナ表記)と町田康バリの文体で炸裂する、私小説を越えた得体のしれない作品。老いゆく両親、成長してもなお問題の耐えない子ども、理解し合えないアメリカ人の夫との日常を語る身辺雑記ではあるが、とかく言葉と感情が過剰。己の身に降りかかる災いを「とげ」と表現するが、それを「メタファーではない」と言い切る所が魅力。即物的な「とげ」として痛みを感じるから巣鴨で抜く。信仰ではなく、現実をそうゆうものとして捉え描くからこそ、この作品は生み出された。傑作!!!

2012/05/29

さよちゃん

これはエッセイなのか、小説なのか。エッセイにしては子供の名前も犬の名前も違う。でもカリフォルニアと熊本を往復し、親の介護に娘の危機に、強情な夫に四苦八苦しているのは、やっぱりしろみさん。老いて死ぬ、ということ、それを「粛々と」受け止めるということ。いろんなことを考えさせられますが、比呂美さんの言葉には悲壮感も力みもない。なにもかもなんでも自然なことと受け止めるありかたに、子育てエッセイの時から励まされてきました。大好きです。

2013/12/20

かふ

伊藤比呂美のバイリンガル説経節でしょうか?説経節というのは、もともとお坊さんが民衆にわかりやすく仏教説話をかたるのですが、そのなかでも日本に当てはめた事件や伝承を語る内に、お釈迦様のありがたい話より、事件の残酷性の方が面白くなって行ったというのがあるのです。語り手の素質ですかね。どう語れば民衆が聞き耳を立ててくれるか?朝礼で校長先生の訓示では、寄ってこない。そういう仏教説話の1ジャンルです。以下、https://note.com/aoyadokari/n/naba2d2a11833

2021/12/12

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