西太后秘録 下 近代中国の創始者 (講談社+α文庫)
西太后秘録 下 近代中国の創始者 (講談社+α文庫) / 感想・レビュー
あやの
昔の映画や伝説のせいで、すっかり西太后は悪女の代名詞になっているが、実は中国社会を近代化させた立役者だった。特に女性教育推進や立憲君主制構想など、高い評価を得ても良さそうな実績が多々ある。にも関わらず、これだけ評価されないのはまさに彼女が「女性」だったから。それゆえ政治の前面に立てなかった。近代化を目指しながらも、伝統的な清朝を守りたいという相反する望みがあったために様々な面で矛盾が生じたのが残念でもある。作者の思い入れが解釈に影響している傾向がなきにしもあらずだが、新しい視点を持つことがでる力作!
2019/01/09
うさぎや
西太后の評伝。彼女が最初から実権を握り表舞台に出ていたらどうなっていただろう、と思うほどの辣腕ぶり。凄まじい。
2018/10/20
田中峰和
西太后に残酷な悪女のイメージが定着するのは日本だけなのか。本書で唯一、彼女の批判があるとすれば、庭園に拘り過ぎて海軍の予算を着服して造園費や建造費に回していたことくらい。元々の兵力は日本を上回っていたのに、政治に興味のない光緒帝やその取り巻きたちが日本の脅威を軽視して敗戦。領土の割譲と莫大な賠償金の支払いによって、さらに弱体化する清国。西太后を囲む男たちは覇気も能力もない連中ばかり。日本の次はドイツ、さらにロシアが領土を略奪していく。中国弱体化の要因を作った日本に対しての恨みが今も残るのは仕方ないのか。
2023/03/15
てっちゃん
西太后は、中国の近代化に大きな足跡を残したことが 良く分かった。ただ、その過程で様々な確執があり、強権的手法を使ったことも事実。中国という巨大な国家を運営することの宿命なのかもしれないな。
2018/08/17
れんれん
少し西太后を評価しすぎているところはありますが、世継ぎが育たなかった点で活躍の場を与えられ、列強とのなかで政治力を披露できた珍しい例だと感じました。暗殺されてもおかしくないのに生き延びたのはすごい・・・運も実力のうち。かも。
2021/04/16
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