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デリバリールーム

デリバリールーム

デリバリールーム

作家
西尾維新
出版社
講談社
発売日
2020-09-30
ISBN
9784065202418
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「デリバリールーム」のおすすめレビュー

小説は事実より奇なり。西尾維新最新作『デリバリールーム』は、参加費50万円のデスゲーム!?

本稿には刺激的な内容が含まれます。ご了承の上、お読みください。

『デリバリールーム』(西尾維新/講談社)

 単語の前に「最後の」という修飾語を付けるとなんでも感動する、という説がある。最後のお寿司。最後のネット通販。最後の恋人。最後のデスゲーム……はそれが初めてじゃない感じがして痛みが増す! さきほどの単語の前に「初めて」を付けると、今度はなんでもときめくことにも気づく。初めてのお寿司。初めてのネット通販。初めての恋人。初めてのデスゲーム……は2回目以降も約束されているっぽくてやっぱりキツい!! ことほど左様に、デスゲーム(=自分の命をチップにした、死をも伴う危険な娯楽。それを描いたフィクション作品)という単語は、感動もときめきもキャンセルする、恐るべき負のパワーがある。

 では、そのパワーを最も強力に、なおかつ最も不条理に噴出させる修飾語はなんだろうか? 『化物語』から始まる〈物語シリーズ〉、『掟上今日子の備忘録』に始まる〈忘却探偵シリーズ〉などを代表作に持つ西尾維新は、ノンシリーズとなる最新長編『デリバリールーム』(講談社)でそのアンサーを提示した…

2020/9/24

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 昨年、作家生活20周年を迎えた西尾維新が、セレクトした20タイトルとともに、その道程を振り返るロング・ロングインタビュー。第4回は、『りぽぐら!』『終物語』『ヴェールドマン仮説』『デリバリールーム』、『死物語』+『戦物語』について。テクニカルなチャレンジの楽しさと、「親子」「出産」という新テーマに着眼した理由、広がり続ける「〈物語〉シリーズ」への思いなど、今回も読みどころ満載だ。

(取材・文=吉田大助)

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西尾…

2023/2/26

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デリバリールーム / 感想・レビュー

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のっち♬

困窮した妊婦を集めて幸せで安全な出産のために競い合わせるゲームに参加する宮子。人物造形の奇抜さ、斜め上の突破口、「どんな危うい人間だって幸せになっていい」という毎度のメッセージが著者らしい。物議を呼ぶためならどんな際どいメタファーや皮肉も厭わない。しかし、インパクトを重視し過ぎてテーマやコンテンツが未消化な印象。飛び交う平成用語や言葉遊びは令和の子供たちよりは同世代向けに感じる。勿体ぶる程でもない焦らしやフェアでもないルールの後出しは興を削ぎかねない。金では解決し切れない彼女達の背景が希望に翳りを添える。

2022/07/18

ゼロ

妊娠エンタメ。西尾維新氏による単品作品で、今回は中学生の妊婦が主人公。妊婦の元に届いたデリバリールームへの招待状。参加費50万円を持ち、6人のデスゲームが始まる。デスゲームと言っても殺し合いをするのではなく、頭を使った知能ゲームで、最後の一人になるまで戦い合うもの。悪趣味な物語であることは否定できません。登場人物が悲惨な過去を抱えています。特に主人公の宮子は名前の付け方から、妊婦になった理由から、今の家族関係からも不幸そのもの。ゲームの主催者も妊婦をデータとしてか見ていない。胸糞悪いエンタメ作品でした。

2020/12/06

雪紫

自らの子と安全安心出産を。妊婦(か妖婦か?)同士がその権利を掛けて椅子1枠のデスゲームへと挑む。流産ならないよな、な心配したり妊婦の生々しい問題をスパイス的に取り扱うも(過去を別にすると特に分娩ゲームに「うぇっ」となる。おちおわー!)重くなり過ぎずに言葉回し全開で最後の結果込みですいすい読めるエンタメに見事昇華。作中でも突っ込まれてる通り倫理観絶滅してるけど。

2023/05/12

えみ

なんてことだ・・・なんてことだ・・・まだまだ本が見せる世界、読書という宇宙の広さを理解していなかった。何と表したらいいか、結局語彙力ないことを披露することになるが、「凄まじい」その一言。癖も、展開も、背負った運命も凄まじい。脳内かき乱されて絡み合った神経が発火しそう。妊娠、出産という神聖とも言えるデリケートな領域で、まさかこんな世界を見せられようとは。予想外。文字通りの意味で妊婦達の人生を賭けた蹴落とし合いの戦いを観賞できる。女は強し、母は戦士。デリバリールームの招待状を受け取った妊婦達の勇姿を目撃する。

2021/03/14

さっちゃん

妊婦同士のデスゲーム。セーラー服の中学生妊婦が主人公の妊娠エンタメ!もう賛否両論大炎上しそうな題材(笑)。それでも、言葉遊びをてんこ盛りにしてラストまで楽しませてくれる、西尾維新ワールド全開の一冊。

2020/12/10

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