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ここでは誰もが嘘をつく

ここでは誰もが嘘をつく

ここでは誰もが嘘をつく

作家
嶋中潤
出版社
講談社
発売日
2022-12-07
ISBN
9784065292822
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ここでは誰もが嘘をつく / 感想・レビュー

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モルク

医療刑務所函館分院に勤務する女医金子由衣が主人公。医師ではあるが法務技官という肩書。罪を犯し服役中の人が病気になったら…やっぱり助けるのが義であろう。だが、そんなやつをどうして助けるのかという被害者、そして出所すれば必ず重大な罪を犯すとわかっている人をも治療しなければならないという葛藤。少しミステリー色を交えながら患者、家族そして病院内の人間関係を描く。医師になろうとする学生のための修学資金。そしてその返済のために3年間就労しなければならないという制度を知った。

2023/01/31

ma-bo

医療刑務所が舞台。2年目の矯正医官金子由衣が主人公。向き合う患者は犯罪者。罪を犯した者、出所すればまた罪を犯すかもしれない人も治療しないといけないのかという葛藤。誰かがしなければならない仕事で直面する先輩医療スタッフや刑務官のそれぞれの思いも描かれる。犯罪者、加害者家族、被害者家族が物語に絡み、そしてインシュリン注射後の死亡が、事故?故意?の事件要素もあり詰め込みすぎな気はしたけど…職務に携わる方の葛藤や刑務所医療のシステムや現状・課題などが詳しく説明されており分かりやすく読める内容ではあったかな。

2023/04/29

ゆみねこ

医療刑務所では患者である受刑者は高齢化し、医療と介護が必要になる。過去の罪と患者としての現在、医師2年目の金子由衣は当直の夜に急死した受刑者の死因に不審な思いを抱く。高齢化する受刑者のことはTVの特集で観たことがあり、何ともなり切れない。目の前の患者を救うのが医療者の使命とはいえ、とても大変な仕事だと感じた。

2023/03/07

itica

医療刑務所に勤務する矯正医官(医師)由衣の目を通して、受刑者の高齢化や治療に対するジレンマなど様々な問題点が浮き彫りになる。普通の人には刑務所とてなじみが薄く、ましてや医療刑務所の実態など知る由もない。矯正医官はただ単に病気に向き合うだけではない過酷な職業だ。そしてミステリとしては受刑者の病死に漠然とした疑いを持つ結衣の苦悩が加わる。一見、地味ではあるが、人の道を真摯に問う作品だった。

2022/12/21

ででんでん

「貌なし」以来久々の嶋中さん。良かった。医師という職業のいろんな形。大学病院勤務、地域拠点の医療センター、開業医、僻地の診療所の医師、救急救命医、国境なき医師団…。この作品で取り上げられている医療刑務所の医師は、これらの中でも断トツに世の中に知られていない存在かもしれない。ほとんどの人は知らない存在。そして、たとえば殺人を犯した人の病を治療する…ということを被害者遺族の立場から捉えた時、なかなかに不条理にも思えるだろう。それでも、社会から必要とされている自分たちの仕事にまっすぐに向き合う人たちがいる。

2024/04/12

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