エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)
エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
タイトルからは、海外で亡くなった邦人のご遺体を運ぶ飛行機関連のお仕事ノンフィクションと思っていた。始めの20頁で自分の無知さを思い知る。本書は、国を隔ててお亡くなりになり、時間の経過や、移動機内の気圧の関係等で腐敗や傷みの激しいご遺体を、心と技術で生前のお姿に戻しご遺族に届ける尊い方々の話です。最も無知を恥じ、驚き怒りを覚えたのは、遺体をビジネスの玉としか考えない悪しき輩が絶えない事!ここに書くことさえ憚られるような遺体ブローカー達が海外には存在する!恐ろしい!『尊厳』について考えさせてくれる良書‼️🙇
2020/05/30
takaC
国際霊柩送還士に運んでもらわないといけない寸前まで行った自分の経験を思い出しながら読んだ。
2017/09/27
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
ずっと読みたいと思っていた作品。死は遠いようでいてすぐ隣に存在している。家族に看取られ安らかな最後を迎える保障は何一つなく、明日海外で帰らぬ人となる可能性もあるわけだ。この本を読み「国際霊柩送還」なる言葉を初めて知った。良く考えれば不思議な話で彼らがどんなに懸命に尽くしても死者が蘇るわけでもないし、明日には骨になり荼毘に付されてしまう。それでも、最愛の家族に一目でも会いたいという遺族の想いの為に日夜努力を続けるエアハース社の人々。「ビジネス」ではあるのだが、それだけではない確かな想いが感じられる。★★★★
2015/02/07
紫 綺
第10回開高健ノンフィクション賞。ノンフィクション初読み。国際霊柩送還士という職業を初めて知った。海外で亡くなった人は海外で荼毘に付され、遺骨や位牌だけが日本へ帰ってくるものと勝手に思っていた。ある意味衝撃である。改めて死というものを考え直す機会を与えてくれる。
2017/03/20
hatayan
愛する人を亡くすことは自分の一部を失うこと。だから、どんな形であっても戻ってきてほしいと願う。海外で亡くなった人の遺体を、遺族の元に生前の綺麗な姿に処置して送り届ける「国際霊柩送還士」の現場に密着したルポ。 この仕事は、時間が経てば忘れ去られるべき。しかし、なくてはならない、社会における静脈ともいえる存在。 死は日常のなかに渾然と混ざり合って、そこに境界など存在しない。 遺体の送還の現場で働く人、そして筆者の死生観を織り交ぜながら、弔うこと、悲しみ抜くこと、生き抜くことの意味を重く問いかける一冊です。
2019/05/24
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