枯草の根 陳舜臣推理小説ベストセレクション (集英社文庫)
枯草の根 陳舜臣推理小説ベストセレクション (集英社文庫) / 感想・レビュー
たか
第7回江戸川乱歩賞受賞作。 国際色豊かな神戸を舞台に、中国人社会を独自色豊かに描いたミステリで、中華料理店主が謎を解き明かしていく。 事件の真相が華僑というアイデンティティに関する問題を扱っており、スケールの大きさを感じる。 ラストは余韻を残す締めくくり方だ。C評価
2019/07/15
hit4papa
江戸川乱歩賞の選考委員たちが絶賛した著者のデビュー作にして、探偵陶展文シリーズの第1弾です。当時の日本で暮らす華僑の生活や、習俗が作品世界に取り込まれていて興味深いのですが、ミステリとしての完成度が高いと思います。陶展文が解決に至るための伏線のはり方が実に巧みなのです。被害者の癖をもとに、アリバイを崩し、全ての謎を解き明かす陶展文の観察眼が見所でしょう。本作品では、事件の真相が華僑という生き方そのものに深く関わっています。スケールの大きさを感じますし、ラストは余韻を残す締めくくり方となっています。
2017/01/08
ふたば@気合いは、心を込めて準備中
もう、10年以上前に購入、読了したものの再読。淡々と進んでいくストーリー、登場人物の様子もどことなく異国的に感じる作品。同時収録の作品も含めて面白かった。
2022/05/25
雪の行者山@加療リハビリ中
陳舜臣は、歴史小説はそこそこ読んでいるけれど、推理小説は初。なかなか面白かった。陶展文がなかなか魅力的です。ほかの作品も探してみます。でも、「阿片戦争(上・中・下)」新版は4冊?を買いなおすのが先だけど。
2016/07/14
ワッピー
「北京悠々館」から飛び移りました。拳法の達人という触れ込みに期待してしまいましたが、探偵役の陶展文は日々の生活の中で、考え、悩みながら真理に到達しようという地道なキャラで、ディー判事や黄飛鴻のような派手なアクションは(少なくともこの本では)ありません。友人が殺される表題作はかなり丁寧に書き込んでいるため、やや冗長に感じるかも。倭寇の埋蔵金探し「王直の財宝」、富豪が自宅で絞殺された「くたびれた縄」、雪の日の足跡トリック「ひきずった縄」、写真のアリバイ崩し「縄の繃帯」収録。昭和の香りの推理世界を堪能しました。
2016/11/23
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