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高瀬舟 (集英社文庫)

高瀬舟 (集英社文庫)

高瀬舟 (集英社文庫)

作家
森鴎外
出版社
集英社
発売日
1992-09-18
ISBN
9784087520286
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高瀬舟 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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ちさと

喜助は弟殺しの罪で遠島を言い渡された罪人であるが、利益や憎悪のための殺人ではない。自殺を図って苦しんでいる弟の嘆願によるものである。後半は安楽死を日本で最初に扱った小説として有名で、国語教科書への収録もある短編。でももし喜助の犯行が本当は意図的なものだったら。だって喜助の態度は少し不気味。大切な肉親を失った後のものとは思えない。自分の話術で命拾いできた喜びと満足感からくる余裕が醸し出ている。サイコパス的な香りが船と一緒に漂っているような作品でした。

2018/10/18

にし

罪人なのに清々しい。罪に伴う罰って世間の為にあるのかもと思わせる。足るを知るは富む。それを罪人で知る皮肉。人や社会の複雑さは今も昔も変わらない。

2014/10/03

❁Lei❁

大学のゼミで使用し読了。表題作「高瀬舟」は殺人の罪で遠島を申し渡された喜助とそれを護送する庄兵衛の物語です。弟を手にかけた喜助の行為は本当に罪なのか、お上は絶対的な正義でありその判決に間違いはないのか。この封建制における正しさについては、鴎外の歴史小説に一貫して問われ続けます。その上、日本の精神の根底にあるとされる武士道や、明治の世にはまだ浸透していなかった自己犠牲の精神に関する事柄も重なり、考えたらキリがないほど深淵な倫理道徳の問題が織り込まれている作品群でした。

2021/11/29

あむ

中学の教科書から。弟を殺したのは罪に相違ないが、苦から救うためであったと思うと、そこに疑いが生じて、どうしても解けぬのである。

2014/02/03

33 kouch

庄兵衛が喜助の話を桁を違えながら自分と比較する。自己啓発本のようなお話だった。満足の設定。人生は相対の中でしか感じられない。同心と罪人が月あかりのなか高瀬川を渡ってゆく情景がとても美しい。

2023/02/03

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