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14歳、明日の時間割

14歳、明日の時間割

14歳、明日の時間割

作家
鈴木るりか
出版社
小学館
発売日
2018-10-17
ISBN
9784093865241
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「14歳、明日の時間割」のおすすめレビュー

文学界を騒然とさせた『さよなら、田中さん』の“現役中学生作家”が、2作目『14歳、明日の時間割』で書いた内容は?

『14歳、明日の時間割』(鈴木るりか/小学館)

 藤井聡太7段がプロ入りした当時「14歳にしては将棋強いね」なんて誰も言わなかった。14歳だろうが20歳だろうが60歳だろうが、強いものは強い。結果に対して年齢を引き合いに出すのはその才能と努力に対する途方もない侮辱だ。「12歳の文学賞」を受賞し、現役中学生作家としてデビューした鈴木るりか氏も同じだ。デビュー作『さよなら、田中さん』(小学館)はただただ小説としておもしろく、才能を感じさせられるものだった。その証拠がこのたび発売された2作目『14歳、明日の時間割』(小学館)である。

 本作は、とある中学に通う少年少女の群像劇。第一話の「一時間目 国語」からはじまり、家庭科、数学、道徳、体育……と昼休みをはさみながら科目をテーマに物語が展開していく。

「国語」の主人公・三木明日香は、14歳で作家デビュー。風変わりな少女として認定されたおかげで気楽なことも多いけれど、やはり面倒も多い。作家志望で20年も投稿歴のある先生に「編集者に渡してくれ」と大量の作品を預けられ「そんなんじゃ、今に行き詰まるときが来るよ」な…

2018/10/17

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14歳、明日の時間割 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

本書の出版当時、作者の鈴木るりかさんは中学3年生。しかも、これがデビュー作ではなく、既に2冊目。実に瞠目すべき作家である。タイトルからは、自分の学校での経験に基づきながらデフォルメされた作品かと思っていたが、その域を遥かに超えている。後半では男子生徒に、そして最後には担任の教師にまで仮託して語られる本格小説である。冒頭の引用「見る前に跳べ!」や途中での西行など、読書体験も中学生とは思えないレベル。戯画化された語り方の背後に生きることの哀しみを湛えた文体。今後も大いに嘱望される。推薦!

2022/07/04

さてさて

『国語』、『家庭科』、『数学』…と過ぎ去ってみれば懐かしいと感じる中学校の教科の名前を時間割の中に見るこの作品。それは”学校の教科をテーマにした小説を書きたいと思っていた”と語る中学三年生の鈴木るりかさんが描く現在進行形の時間割の向こうに、そんな中学生たちのリアルな今の青春を見る物語でもありました。面白い!にプラスして、悲しかったり、苦しかったり、さまざまな感情に心が揺さぶられるのを感じるこの作品。この感想を偶然にも読んで下さったあなたにも是非ともおすすめしたい、読み味十分な素晴らしい作品だと思いました。

2022/06/14

風眠

人の気持ちに寄り添い、想像し思いやる心。それが出来る人が、成熟している人なのだと私は思う。鈴木るりかさん、中学3年生。彼女はあらゆるものを超越している。人としてすでに成熟している。能力のある人は若くても能力があるし、そうでない人は年齢を重ねても成長しない。人としての成熟に年齢は関係ない。そういうものなのだ。14歳の女の子に対して失礼だとは思うけれど、私の「心の肝っ玉かあさん」と呼びたい。中学生らしいイマドキ感もありながら、あらゆる立場の人の心を包み込む包容力。日々を生きる尊さを、私は彼女に教えてもらった。

2018/12/08

寂しがり屋の狼さん

目次が時間割であったり、女子中学生の目線で綴られる物語は可愛いのですが、世間や大人に対する感情(想い)がストレートに描かれており、リアルな中学生が書いたと思うと胸が痛んだ。国語は素直に笑え、家庭科、道徳、体育は心に染み渡りました。言葉の選び方、使い方が上手く作者の語彙力は凄いですね。

2018/11/18

zero1

若い作家が伸びるのを見るのはとても楽しい。中学二年の生徒たち(一部教師も)の目から見た世界の連作短編集。若き作家の明日香は作者の分身だが彼女より足の速い中原のほうが出番多し。登場人物の重なりはよく練られている。各家庭の事情や死などシビアなことも踏み込んで書く勇気は大したもの。体育は共感するものの、やや間延び。だがそれを差し引いても抜群の才能は間違いない。しばらくは書きたいように書けばいい。今後も期待している。既に「太陽はひとりぼっち」を図書館で借りた。

2020/12/30

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