KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

マイホーム山谷

マイホーム山谷

マイホーム山谷

作家
末並俊司
出版社
小学館
発売日
2022-04-26
ISBN
9784093888578
amazonで購入する Kindle版を購入する

マイホーム山谷 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

どんぐり

山谷でホームレスや死を待つ人たちのためのホスピス「きぼうのいえ」が設立されたのは2002年のことだ。一時マスコミでも取り上げられ、その活動はよく知られている。設立者は山本夫妻だったが、妻の美恵さんが2011年に出奔し、夫の雅基さんのほうは現在、アルコール依存と統合失調症を患い、生活保護を受けながら山谷でひとり暮らしをいている。二人にいったい何があったのか、週刊誌の曝露記事めいた話には驚いたが、20年前のあの美恵さんが健在でいることがわかってよかった。「つわものどもが夢の跡」のように走り抜けた二人だった。

2022/07/15

けんとまん1007

何と切ない。ただ、切ない・息苦しいだけで終わらないものが残る。今のこの国が、敢えて捨てようとしている人たちの生きる可能性が、ここにある。それは、よそ者を受け入れる土壌があるから。よそ者・外から来たからこその視点・思考・感性がある。そこに可能性を見出すことを忘れない。

2022/08/02

ネギっ子gen

息苦しい読書になった……。映画やテレビで脚光を浴びていた山本氏は、「きぼうのいえ」施設長を解任されていた――。現在、山谷で介護を受け、生活保護を受給しながら暮らす。そして「山谷のマザー・テレサ」と呼ばれた妻・美恵さんは、あの『プロフェッショナル』放送翌日に姿を消している。山本氏は、なぜ介護を受ける立場になり、なぜ美恵さんは出て行ったのか? 介護ジャーナリストが体当り取材をして、その謎に迫った力作。山本氏の言葉。「究極の福祉って、援助する側とされる側がファミリーになる事だと思うけど、やっぱり難しい」と……⇒

2022/07/21

がらくたどん

山谷でケア拠点を創設した山本氏の今を追ったルポ。今日心身共に健康で社会に適応できている人が明日も同じように健康でいられるというのは便利で心地よい幻想だと思っている。だから山本氏がケアされる側になった点への筆者の驚きは、自分にはむしろなぜ「そうはならない存在」と思えたのかという驚きである。ケア者を強い聖者に固定する圧は危険だ。山本氏の「今」は、創設した柔軟で多職種連携の拠点が住み慣れた地域の共同体の中でケアする立場とケアされる立場の反転を遺憾なく受け止めるシステムに育ったことを身をもって証明してくれている。

2022/08/30

ナミのママ

山谷を取材した作品は数あるがこちらは山本さんをメインにしている。山本雅基さんと妻の美恵さんは『きぼうのいえ』の創立者。映画『おとうと』のモデルとなりNHK『プロフェッショナル』でも取り上げられた、山谷における福祉の先駆者とも言える夫婦だった。しかし現在、病を患った山本さんは生活保護を受けて一人暮らし。美恵さんは離別して行方不明。かつての日雇いの街は今、ドヤ宿泊者の平均年齢が67歳を超え、生活保護受給者は88%を超える。山谷の変化と独特の福祉システムが書かれている。 【第28回小学館ノンフィクション大賞】

2022/05/27

感想・レビューをもっと見る