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見知らぬイタリアを探して

見知らぬイタリアを探して

見知らぬイタリアを探して

作家
内田洋子
出版社
小学館
発売日
2023-10-26
ISBN
9784093891387
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見知らぬイタリアを探して / 感想・レビュー

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アキ

この人のエッセイは、テンポが良くて読みやすい。それでいて情感があり、人生を感じさせ、落ちもある。15篇のエッセイは、すべて色に関係している。イタリアの国旗の色の由来、イタリアの観劇に紫色がご法度である理由、日本では茶色と言うが、イタリアでは栗色と呼ぶ褐色の話し、イタリアのナショナルカラーの青色(azzurro)とラピスラズリの石言葉などなど。これらのエッセイは2021年から2022年に掲載されたもの。イタリアにコロナ禍が拡大していった頃。そしてロシア侵攻もあり、著者からは虹色の未来はとても描けない。

2024/01/19

pohcho

イタリアのエッセイ15編。見た目は冴えない中年なのに女性に大人気の友人。彼の新しいお相手は美しい男性なのだった。二人と一緒に友人の別荘を訪れた内田さんは湖のそばの大聖堂に誘われ・・(ゴージャスな人)。10代でイタリア貴族と結婚した女性の数奇な人生(さみしいクリスマス)。いつにもまして、どのエッセイにもドラマがあり、たくさんの短編映画を見たような気持ちになる。章ごとに色がテーマになっていて、紫色は舞台人には禁忌、黄色はミステリー、サスペンス小説の別称など、イタリアならではの色の蘊蓄も興味深かった。

2024/01/09

minami

まるで小説を読んでいるように感じるエッセイ。内田さんの年齢、職業を問わず友人の多さと行動力、即断力にいつも感嘆する。今回はイタリアの暮らしの中で、その時々の情景や感情が色によって語られている。もうとても鮮やかに心に迫ってきた。コロナ禍で規制が厳しいなかのイタリアでの生活。日本との行き来が難しい時期でも、目線は優しく、内田さんの感情がそのまま文章に乗って心に響いた。上手く表現できない時にプリントアウトした写真を見ると言葉が紡げるとのこと。それにしても驚くような経験をされている。まさに事実は小説より奇なりだ。

2024/01/17

くみこ

楽しいエッセイは数々あれど、内田洋子さんのものは端正な短編のよう。各章のタイトルと合わせて、色の名前がついています。紫、ピンク、緑、灰…。最初の紫は、広場の花売りに勧められたスミレから始まります。演劇界で紫色がタブーな理由に、様々な人間模様が絡みます。バールに現れた少年を見守る常連達の青の話も、血と誇りの赤も良かった。最後の「虹」は、イタリアでのコロナ事情に纏わるナイーブな内容でありながら、自分と異なる人を受け入れる温かさに満ちていました。何か良いエッセイを探している方におすすめします。

2024/02/29

ろべると

今回は様々な色をテーマにしてイタリアを語る。イタリアといえばトマトの赤やオリーブの緑、海の青など、色彩豊か。著者がこれまで暮らしてきたナポリやミラノ、ヴェネツィアなどで人との関わりの数々が積み重なった引き出しから、色が関わるとっておきのエピソードが披露される。懐かしのロベルト少年の旅立ちを惜別を込めて見送るバールの常連たちが印象的。最終章はコロナが明けつつあるヴェネツィア。色は虹色でLGBTの男性が登場するが、世相を反映して意外にも重苦しい結末に。今の世界を覆う暗雲が晴れる日はいつ訪れるのだろうか。

2024/01/16

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