九十八歳。戦いやまず日は暮れず
九十八歳。戦いやまず日は暮れず / 感想・レビュー
いつでも母さん
「書くのをやめたらこの人は死にます」愛子先生の娘さんがタロット占いの名手に言われたそうだ。私もそう思う(不吉でもない)だから書いて!とはもう言えない。佐藤愛子98歳、筆を措(お)く。その言葉は寂しいが、これまで随分と楽しませていただいた。𠮟ってもいただいた。今はただ「ありがとうございました。」と言いたい。本作は既読の話もあったけれど何度でも楽しい。私のツボだったのは『別に老人が前向きに生きなければならないってことはないんじゃないの?』だった。
2021/09/11
ケイ
佐藤愛子さん、90代後半のエッセイ。彼女と同い年の祖母もそうだが、何かあると戦争の頃の話になる。それは若い頃の記憶鮮やかな時のことだからだと思う。そんな中、あぁほんとに今のことを書かれているなと思ったのが、あべのマスクについてのこと。国会で1人で小さなマスクをつけ続ける孤独について。安倍首相(当時)に物申せという依頼が来たことに憤り(文句なら自分で言えよということかな)、安倍さんの側にたってみたのか、彼女にはただそう見えたのか。そして、安倍さんより佐藤さんは長生きなのだなとしみじみと思う。
2023/03/03
Ikutan
愛子先生、もうすぐ98歳なんですね。『九十歳、何がめでたい』がベストセラーになり、多忙な毎日を送っていたところ、ヘトヘトになってしまったとのこと。そりゃ、当たり前だよと思います。そんな訳で、今回はいつもの勢いはなくてちょっとマイルドな感じでしたが、それでも鋭い指摘に、クスリと笑ったり、頷いたり。北海道の別荘の話や様々な思い出話も楽しかった。今回「書くのをやめたら死にます」と言われ本当かどうか確める為に、断筆されるとのこと。今まで元気を頂ける沢山の言葉をありがとうございました。まだまだ長生きして欲しいです。
2021/10/01
アイシャ
とにかくお元気。佐藤さんが初めて老後をテーマにして本をお書きになったのが67歳の時だそうだ。それから30年。ご本人はクタクタだとおっしゃるが、書かれている内容はとってもお元気。若いころの苦い経験がすべて力になって、この元気を支えているんだろうな。私なんてまだまだひよっこだと、変に元気を分けてもらった感じがする。何もせずに過ごす一日というのも、今の私には羨ましい気がする。来年は100歳になられる年。どうぞお元気で我々に、その元気を分けてください。
2022/06/03
Makoto Yamamoto
『九十歳何がめでたい』以来の佐藤愛子。 今回は直木賞受賞作の「戦いすんで日が暮れて」を捩った書名。今回も楽しく読ませてもらった。 前回もあった加齢による身体不調を語りながらも、「お尻の役目」、「マグロの気持ち」、「前向き横向き正面向き」等々98歳になっても素晴らしい感性をお持ちだと思う。 最後の断筆宣言は冗談として理解したい。
2022/01/11
感想・レビューをもっと見る