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掌の小説 (新潮文庫)

掌の小説 (新潮文庫)

掌の小説 (新潮文庫)

作家
川端康成
出版社
新潮社
発売日
1971-03-17
ISBN
9784101001050
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ジャンル

掌の小説 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

掌編小説が122。さすがに一気に読むと印象が散漫になりそうなので、夜毎に少しずつ読み進めた。スタイルはいずれも掌編だが、ここには様々な内容を持った作品が収められている。若き日の川端を想起させるもの、伊豆への旅、はたまた短篇「片腕」とも繋がりのありそうなシュールな趣きのもの、夢幻的な色合いを持つもの。そうした中で、私が最も推すのは「化粧」。分量にして僅か2ページ半。まさに絶妙の1篇である。その中には川端の見る"女"が凝縮されているばかりか、エロスとタナトスも、色彩の効果(もっぱら黒と赤)も。まざに絶品!

2020/05/17

さと

しっかり一ヶ月かかって読み終えた。ほんの数行でその世界に吸い込まれるのだが忽然とその世界が姿を消す。私は突然その世界を取り上げられたかのようで彼らの後を追うしかない。小説のアソートと言っては語弊があるかもしれないけれど、感じるまま、生まれるままの川端康成の世界がここにある。レビューなどとても綴れそうにないが、『別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。』どうしてさらっとこんな言葉を紡げるのですか。美しさに固まってしまった。「ざくろ」「盲目と少女」など、枚挙にいとまがない

2016/11/25

藤月はな(灯れ松明の火)

寝入りばなやちょっとした隙間時間に読むのにぴったりな短編集。作者自身の自叙伝みたいな物語もあれば、人生や人間の不可解さや本質を捉えたような物語、微睡の中で見る艶夢、ホラーのようなものまで多彩です。「望遠鏡と電話」は先生が余計なお節介に虫唾が走ったが、それを知らぬ恋人達の方が幸せなのかも。「一人の幸福」や「神います」の前半も男の思い上がりにしか思えない。だが、半年前、給湯室で泣いていた時に「心中」が頭にわあんわぁんと響いてならなかった。「屋上の金魚」同様に家族など、身近な人間関係に悩んでいる人にお勧めしたい

2020/03/21

ケイ

道尾さんが紹介されていた本。私は川端文学には共感しにくいのだが、この数ページずつのお話のいくつかは、私の琴線にとても触れるもので、その繊細さや美しさを改めて見直す思いだ。【バッタと鈴虫】は特に何度もよんだ。少年の持つ灯りにある彼の名前が少女の胸に暗い夜に浮かび上がる場面、それに対する作者の目線が素晴らしい。これらは主に20代に書かれたようで、一度出版されてから10年ほど経ってから作家本人は自己嫌悪を覚えると言ったようだ。しかし、最初に作家が「若い人が詩を書く代わりに短編を書いた」と言うのはよくわかる。

2014/11/24

Gotoran

川端康成が若かりし頃から40年に亘って綴った122の短篇作品を収録。若さゆえの青臭い夢見心地を感じさせてくれるものから、人生の浮き沈み漂うのも、老いて感じる心の解放が垣間見られるものなどなど、川端が人生で感じてきた経験と足跡を知ることができた。巻末の三島由紀夫の「解説」で理解が深まった。貴重な読書体験!加えて三島作品をも読んでみたくなった。

2018/01/19

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