ひざまずいて足をお舐め (新潮文庫)
ひざまずいて足をお舐め (新潮文庫) / 感想・レビュー
絹恵
心が揺り動かされて、気持ち良くなることが出来るのは、相反するものが併存するその矛盾を、心が生かして愛することが出来るからなのだと思います。だから複雑に絡まる心を、解いて売ることなど始めから出来ません。それでも自身できつく縛った心を一瞬で解いてしまう心を持つ人に出逢うことを、自身で許して、貴方に許されていきたいのだと思います。
2015/01/24
*maru*
詠美姐さんの虚構的半自叙伝小説。先輩SM嬢・忍が語る、SMクラブで働きながら作家の道も歩み始めたちかの物語。タイトルもインパクトがあるし性描写も少なくはない。しかし、ここにいやらしさを求めている人は回れ右。じゃあ主題は何だと言われたら“生きること、そして愛すること”ではないだろうか。卑猥でいて上品、ふしだらでいて真摯。ディープな世界で生きている人が私は大好きだ。詠美姐さん的人生の哲学は豪快かつ爽快で、とても深い。私もあなたの味方です。「人を妬むってことは誇りをなくすってことに等しいことだから。」
2018/12/03
あつひめ
SMの世界って、フツーには語られない世界だから驚いてしまうけど、どの世界にもプロはいるわけで・・・。不倫だとかドロドロ恋愛が溢れかえっている今の世の中、このフツーではない世界はここだけのことと割り切って過ごすお城みたいで、逆にサッパリと受け取れた。この職業はこういう人がなるべし!!なんて決まりはないのだから・・・。初めて覗いたSMの世界。なかなか読み応えがあった・・・と思う。佐伯さんの解説もまた面白い。
2010/12/08
501
著者の半自伝的小説。基本的にSM嬢から小説家となったちかと、姉さんと慕うSM嬢の会話から成り立ち、著者の人間への洞察力の凄さがわかる。本作を手に取ったのは用例を明治時代から戦後直後まで数多くの文学作品からとっているのが特徴の"新潮現代国語辞典”で、唯一、現代小説から本作がとられているため。夏目漱石や芥川龍之介などなど、そうそうたる作品名が並ぶなか、"ひざまずいて足をお舐め"の文字が所々姿を表す。見つける度ににやりとしてしまう。例えば、"目くじら"の見出しには本作から4行に渡って引用されている。
2021/12/07
えんどうまめ
高校のころ、国語の先生がぼそっと言っていたのをふと思い出して。本の虫という表現がピッタリな先生がネタにしていただけあって、さすが面白かったです。人間こうあるべきだ、みたいな押しつけがましさ漂う、原理主義的な思想への挑戦という感じでしょうか、すごく共感できます。
2016/12/03
感想・レビューをもっと見る