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蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

作家
小林多喜二
出版社
新潮社
発売日
1953-06-30
ISBN
9784101084015
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蟹工船・党生活者 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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優希

プロレタリア文学の代表作として名高い作品ですね。それだけにかなりの迫力があります。劣悪で過酷な状況に置かれ、一切守られることもない時代があったことに衝撃を受けました。それも昭和初期というのですから、然程昔のことでもないんですよね。絶望にまみれ、底辺で這いつくばることしかできない人々がいたことを思うと鳥肌が立ちます。待遇が違うだけで労働条件は今も昔も大きな差はないのが現実なのかもしれませんが、人としての尊厳が与えられていないというのが恐ろしくもあり、悲しくもありました。

2017/01/06

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

帝国主義の日本において逮捕されわずか29歳の若さで国家権力に虐殺された小林多喜二。歴史の教科書にも出てくるプロレタリア文学の古典とも言える作品。蟹工船の中で過酷な労働条件で働かされる労働者の姿には読んでいて気持ちが重くなる。しかしながら、改めて読むと最近の社会には、これよりももっとブラックな企業が沢山あるのではないかとも思える。企業は人なり、労働力が使い捨てになってはいけない。若い人、ぜひ読むべし。★★★★

てち

蟹工船。一度は誰しも聞いたことがある作品であろう。しかし実際に読んだことがある人は少ないのではないだろうか。私もそうであった。本作は、蟹工船の内実を描こうとしたのではない。資本主義の本質を書こうとしたのだと私は感じた。資本主義という名の形のないものを具現するために蟹工船を用いたのだ。では、なぜそれを用いて資本主義を体現しようとしたのだろうか?それは、帝国軍隊、財閥、国際関係、労働者といったものが全体的に関わっているのが「蟹工船」だからである。

2020/11/21

扉のこちら側

2018年522冊め。春頃に読了していたが登録を忘れていた。人を人と思わない、死んでも顧みられることがない労働者の姿は悲劇的である。よくよく考え見れば昭和初期のそう遠くない昔の話なのだが、現在の格差社会についても考えてしまう。共産圏のロシアが夢の国のように描かれているのがおもしろい。文体は固い印象。『蟹工船』があまりに特殊すぎる環境のため『党生活者』の方が読みやすい。三浦綾子の『母』は長いこと積んであるので早く読みたいところである。

2018/08/18

Miyoshi Hirotaka

駆逐艦が国境の海と労働者を睨む力が正義の世界。法の真空地帯の蟹工船で貧困層出身の労働者が非人道的に酷使される様子が写実的。登場人物を群像として描く手法は今でも新鮮。共産主義が福音として描かれるが、この頃は、スターリンの大粛清の足音が聞こえ始めていた。彼の国では破綻したが、1980年代のわが国は低失業率と低格差が実現、実質的な共産主義になったのは歴史の皮肉。古代・中世は中国、近世はオランダ、戦後はアメリカと時の最強国に傾倒し、隣の芝生が青く見えてしまうのは、わが民族の性。本質を見極め、変質を見抜くのが課題。

2014/12/19

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