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恍惚の人 (新潮文庫)

恍惚の人 (新潮文庫)

恍惚の人 (新潮文庫)

作家
有吉佐和子
出版社
新潮社
発売日
1982-05-27
ISBN
9784101132181
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恍惚の人 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

昭和の平凡な家族の風景がのどかである。 老人性痴呆を扱った作品だが、 昭子と 老夫婦との やりとりが昭和らしい。 義母が 亡くなったあとの 義父の振りまいを 昭子の視点で描く。 昭和47年の作品だが、今読んでも 身にしみる、そんな作品だった。

2020/07/17

じいじ

この小説は、50年前の大ベストセラーだったとのこと。いま、読んでも旧さを感じさせない凄い小説です。主人公・恍惚の人・茂造は84歳、明日の我が身だと思って読みました。ある日突然、笑顔が可愛いくて家族から慕われているお婆ちゃんが倒れ、逝ってしまいます。死ぬ順番が違うだろう、と思いました。この物語、長男の嫁を中心に舅・姑・小姑との微妙な関係が、丁寧に描かれていて面白いです。読み終えて、81歳の私を支えてくれる人たちに、この茂造爺さんのように余計な負担をかけないで、残りの人生を過ごせたら…、と思いました。

2022/06/12

まさきち

昭和40年代、まだ認知症がよく理解されず、耄碌と呼ばれ精神病として扱われていた頃の話。呆けた舅・茂造わ甲斐甲斐しく世話する嫁・昭子の気持ちや考えの変化や夫・信利や息子・敏の思惑、更には親戚や周囲との軋轢や温度差が丁寧に描かれていて非常に楽しめた一冊。風俗や生活習慣の現在との違いを味わえるのに、老人を取り囲む人々の気持ちや考えはそう変わらないのだなと感じさせられながら読了です。

2020/03/13

さと

軽度の認知症を患う実母の遠距離介護(介護というよりご機嫌伺)をするようになってまず感じたのは最も身近にいる人の孤独感だった。理解されない大変さ、とはいえ自分がやるしかない現実、その思いを吐き出す場所さえないという八方塞がりな世界。私はまだ深刻な状況を迎えていないが、制度は整ってきたとはいえ介護する人の心に対するケアは何も変わっていないと感じた。一つだけ感じた大きな違いは昭子と自分のマインド…現実に引きずられるかのような日々の中で昭子は、この介護をやり切ってやる と腹をくくったことだ。

2021/06/04

たきすけ

あなたは人生の下り坂で家族の為に介護が出来ますか?老いるという現実・死という現実は私達が生きていく中で眼を逸らしがちな主題です。「恍惚の人」は認知症を患った老人から広がる波紋の物語であり、主人公である昭子が舅の介護を通して気づいた生命の尊さの物語でもあります。特に舅の様子を見て自らの将来を絶望視する夫妻の描写には心打たれるものがあり何度も読み返しました。今後日本の超高齢化社会を支える為には皆で支え合う包括的な意識の持ち方が必要であると思います。それは介護だけでなく人類が生きていく為に必要であると感じます。

2016/06/13

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