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安曇野の白い庭 (新潮文庫 ま 19-6)

安曇野の白い庭 (新潮文庫 ま 19-6)

安曇野の白い庭 (新潮文庫 ま 19-6)

作家
丸山健二
出版社
新潮社
発売日
2005-03-01
ISBN
9784101283265
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安曇野の白い庭 (新潮文庫 ま 19-6) / 感想・レビュー

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harass

この癖のある作家が庭造りにはまって庭の写真集まで出したと聞いていた。このエッセイの存在を知ってようやく偶然手に入れた。著者は自宅の広い敷地にある庭木を全部一人で手入れをするのだという。この敷地の庭木の変遷や家の建て替えなどを語っている。この尖った作家は相変わらずのツッパリぶりだがもういい年になっていて偏屈爺のように感じてしまう。庭のカラー写真も少ないが収録されている。さすがだと感心するセンスだ。読んでいて思うに長野と自分の住む九州とでは気候がずいぶん違うなと。

2014/08/31

Sakie

若い頃に読んだ氏の「白い庭」の経緯を確かめたかった。しかしやはり氏の傲慢さと他者蔑視に、嫌悪感を持て余す。350坪の土地に、俺は女や女みたいに軟弱な男にはできない仕事をやり上げたのだと自画自賛して憚らない。庭とは思いつきを手あたり次第に植えては挽き倒し植え直しを繰り返す自己満足である。自慢げに花の咲き誇る庭を眺めやるカラー写真。力と意志で現実を捻じ曲げられると信じている庭師の人間性がどうであれ、木は枝を高く伸ばし花は咲き誇る。それは逆に自然の持つ健やかさを、そして人間の小ささを証明しているように見えた。

2023/04/01

ホークス

面白くて考えさせる良書。作家が長野に移住して庭を造る話だが、1943年生まれの著者がアクティブかつ毒舌で、考察の深さとユーモアは岡本太郎の様。作家を「オカマ臭い仕事」、都会人を「思いあがった」「嘘臭くて、軽薄で、軟弱」と罵倒し、思わず吹き出してしまった。しかしシャイで繊細でもある。家を建て替える際、業者や職人達と触れ合うのだが、若くして作家になった著者は初めて本物の労働に接して動揺する。自分が不当に楽をしていると若者の様に悩むのだが、そこでは終わらず自分を追い込んで結論を出していく。その姿勢は強靭そのもの

2016/05/05

ゆうゆう

安普請といいながら25年、ギリギリまで住んだ自宅。自分好みへの究極の醍醐味、白い庭づくり。我が家には、庭はないけれど、物を片付けて、人間の空間増やさねば…

2020/07/06

booklight

小説家、丸山健二の庭造りの話。小説自体は何度かトライしたが、どうもマッチョな感じが合わなくいつも途中でやめてしまう。しかし、庭造りだとマッチョ感も薄れて、ちょうどいいぐらい。新しい植物を植えては失敗して、植えては気に入らなくて伐採して、小説が売れないと漏らし、周囲に理解がないと悪言を吐き、また庭を造っていく。自業自得な身勝手さと不器用さも含めて人生の振り返りともなっていて、そこもしみじみ面白い。建て替えた家とともに庭の写真もある。そうか、庭造りは楽しそうだな、と思えた。

2018/09/09

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