読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

知と愛 (新潮文庫)

知と愛 (新潮文庫)

知と愛 (新潮文庫)

作家
ヘッセ
高橋 健二
出版社
新潮社
発売日
1959-06-09
ISBN
9784102001103
amazonで購入する Kindle版を購入する

知と愛 (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

その名を体現するかのごとき、徹底した精進によって自己完結しているナルチス。一方のゴルトムントは他者との関係性の中に生きる。主な相手は女性だが、その愛情の発露のあり方は、まるでドン・ジョヴァンニのそれのようだ。言葉をかえれば、ナルチスはアガペーの世界に生き、ゴルトムントはエロスの世界に生きるのである。この葛藤はヘッセ自身のそれであっただろうが、芸術はついには修道生活とは両立しえないだろう。しかし、それでいてなおかつそれは憧憬すべき世界でもあるのだ。そして、その狭間に身を置くのがヘッセの文学ではなかったか。

2018/01/13

遥かなる想い

ヘッセの1930年作品。 西洋において、「修道院の存在」はどのくらい 人々の精神・規範に影響を与えるのだろうか.. ゴルトムントとナルチスの生き方を 通して、知と愛を描く。それにしても 修道院の呪縛から 解き放たれたゴルトムントの 女性遍歴は奔放である。この奔放さと禁欲の 対比が見事で、いかにも人間の両極性を 追求した、ヘッセの作品だった。

2016/09/03

ケイ

ゴルトムントは美しすぎたのだろう。彼を放ってはおかない女性たち。彼女たちを分け隔てなく愛した彼は本当は誰を愛したのか。彼が本当に欲したものは何だったのか。最期の時の平安を迎える前に、若さや美しさ、そして人生そのものを浪費しなければならなかったのかと思うと、虚しさを覚える。彼を受けとめるナルチスの高潔さがなければゴルトムントは救われなかった。そして、ナルチスはゴルトムントがいたから愛することを知ることができたとは言え、二人は幸せだったのだろうか。

2016/09/15

優希

相反する結びつきが印象的です。聖職者・ナルチスと修道院に入ったゴルトムント。ゴルトムントは本質的に官能の子であり、愛に生きるべき人物であったように思います。ナルチスとゴルトムントは惹かれ合いつつも正反対の生き方の道標を持っているのが印象的でした。結局「精神の道」と「感性の道」を歩む2人。その心の根底にあったのが知と愛だったのではないでしょうか。全く違うものを心に抱えながらも愛を語り合うのが圧巻です。その姿には全ての真理がつまっていると言えるでしょう。

2016/05/14

みやこ

究極の合わせ鏡。誰よりも理解しあいながら、相対的な世界に属する二人。相容れないことを理解した上での尊敬と敬愛。心に秘めた二人の想いは決して言の葉に乗せられることはないと思っていたけれども。ナルチスの告白に泣いてしまった。抱きつづけたあまりにも尊い友情、そして愛の形。解き放たれた小鳥は流浪の旅を経て、豊潤な感性の泉を携えて戻ってきた。「愛するというのは彼にとっては自然な状態ではなく、奇跡だった」愛を享受できた彼は幸せだった。帰る場所を得、芸術を生み出した彼も幸せだった。そして、この作品に出会えた私も幸せ。→

2017/12/29

感想・レビューをもっと見る