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デイジー・ミラー (新潮文庫)

デイジー・ミラー (新潮文庫)

デイジー・ミラー (新潮文庫)

作家
ヘンリー・ジェイムズ
西川 正身
出版社
新潮社
発売日
1957-11-22
ISBN
9784102041017
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デイジー・ミラー (新潮文庫) / 感想・レビュー

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紅はこべ

病気が蔓延しているイタリアが舞台の小説としては『ヴェネツィア(ヴェニス)に死す』が有名だが、この作品もそうね。どちらも外国人滞在者が罹患して命を落とす。ジェイムズでは一番読み易い、入門的小説。

2020/03/21

レモン

現代の日本人の感覚では古臭いと感じるような淑女の振る舞いができない(あえてしない)デイジー・ミラーに心惹かれる主人公。その自由奔放さは無邪気さゆえのものと必死に擁護しようとするが、彼自身も段々愛想をつかしてしまう様子がリアルで良い。無邪気で悪意がなければ少しぐらい道徳的に外れていても良い訳ではなく、周りの空気を読み忠告を聞き入れる素直さも大事。若い・可愛いだけでは済まされないこともあると思うが、若い時は注意されてもうるさがるだけで理解できないもの。そんな女性の末路が描かれている。

2023/09/02

二戸・カルピンチョ

社交界や身分のある人間の振舞い、というのがよくわかっていない私からすると、「堅苦しい事やしきたりなんか知らないわ、私は私のしたいようにするわ」というデイジーは普通である。それでも好意を抱く人に、それを行動でも言葉でもストレートに伝えられない時代や立場であるなか、最後に残した言葉には悲愁の情を抱いてしまうのである。なんとなしに、リリー・アーチを思い浮かべながら。

2018/09/15

クナコ

初読。著者作は「ねじの回転」既読。それと比べると大分印象が違った。「ねじ〜」を読んだのが何年も前なので、忘れてしまっただけやも。欧州に根付いた米国人青年と、米国からやってきた裕福でお転婆な娘。現代日本人の私の印象でも軽薄な感じがするのだから、当時の欧州風の慇懃さに慣れた人々にはさぞ不品行に見えたことだろう。面白いのが、彼女の奔放さを世間知らずゆえと考える青年自身も、広い欧州で同じ英語で会話のできるアメリカ人コミュニティの中でしか社交をしていないこと。欧州人たちからしたら、どっちもどっちの可能性がある。

2021/10/06

Foufou

旧大陸と新大陸の確執のメタファーとして語られる本作。しかし洋の東西問わず若い娘とはほとんどデイジーのようではないか。視点人物の青年が二十代後半。娘の言動に対する彼の批評と、若くない小生のそれとの悉くの乖離が面白かった。自由奔放で気を持たせるが、当人計算高いどころか無邪気なだけ、それをもっともらしい理路をつけては翻弄される男たち…。しかしいつかは男もハラリと冷めるもので。そこのところを上手に描いています。しかしローマに流行る熱病がマラリヤとは。月明かりに照らされたコロッセオに立つ蚊柱とは、なんとも凶々しい。

2020/06/15

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