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ぼくはあと何回、満月を見るだろう

ぼくはあと何回、満月を見るだろう

ぼくはあと何回、満月を見るだろう

作家
坂本龍一
出版社
新潮社
発売日
2023-06-21
ISBN
9784104106035
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ぼくはあと何回、満月を見るだろう / 感想・レビュー

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鉄之助

坂本龍一がガンとの闘病を赤裸々に語り、晩年に何を思っていたかがリアルに迫ってきた。「戦メリ」のメロディーは30秒で思いついたのだから、「1~2分、命が長らえれば、それを超えられる」とも。最後まで、歴史に爪痕を残した一生だった。この本の編集者でありインタビュアーでもある鈴木正文さんの、巻末「著者に代わってのあとがき」が、哀しくも美しい。坂本さんはすでにいない。ならば僕たちが「坂本さん」になろう! この心意気、大いに気に入った。

2023/10/01

buchipanda3

「私たちは人生を尽きせぬ泉であると思ってしまう」。これは著者が引用したボウルズの言葉。有限と知りながら、つい日々の中で忘れがちだと思う。でもその言葉はこう続く。「人は無限の機会がある」。言葉通り、本作には著者が最後を迎えるぎりぎりまで数々の出会いと創作をした姿が描かれていた。その中で彼が繰り返していた人の論理より自然そのものに近づきたいという願いが印象深い。自然には法則はあるが規則はない。時間の概念も同じ。目線を人から離した時、ある種の幻想から解放される。彼の音楽と言葉に感謝。そんな思いで月を見上げたい。

2023/09/17

アキ

著者が音楽を手掛けたベルナルド・ベルトリッチ監督『シェルだリング・スカイ』1990年のラストの台詞「人は自分の死を予知できず、人生を尽きぬ泉だと思う。だがすべての物事は数回、起こるか起こらないか、自分の人生を左右したと思えるほど。大切な子供の頃の思い出も、あと何回心に浮かべるか、4〜5回思い出すのがせいぜいだ。あと何回満月を眺めるか、せいぜい20回。だが人は、無限の機会があると思う」70歳を超え、癌に侵された著者は、38歳の時に関わって、どこか他人事に響いたこの言葉を、ふと思い出す。死を意識したエッセイ。

2023/09/28

kaoru

闘病記から始まるので読むのが辛かったが仕事への真摯さや社会への義務感に敬服した。随所に挟まれる言葉のきらめき。「郷愁の感覚こそ芸術の最大のインスピレーション」。映画『レヴェナント』の作曲や福岡伸一と「ロゴスを超えてピュシスに近接する」術を語り合ったこと。『async』の創作過程。藝大の客員教授として学生の選考に当たったエピソードは「教授」らしい反骨精神に溢れている。トランプ大統領選出に衝撃を受けコロナ禍に直撃されるも新しい音楽を追い続ける。晩年は雨など自然の音に魅かれる一方、シャルル・アズナブールが→

2023/07/16

けんとまん1007

知性と思い。これを継続すること、行動に移してみること。簡単なようで、決して簡単ではないこと。その中で、悩み、考え、逡巡しながらも、次に向かうこと。周囲への思いも含め、考えさせられる。

2023/10/10

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