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モノクロの夏に帰る (単行本)

モノクロの夏に帰る (単行本)

モノクロの夏に帰る (単行本)

作家
額賀澪
出版社
中央公論新社
発売日
2022-07-20
ISBN
9784120055515
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モノクロの夏に帰る (単行本) / 感想・レビュー

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さてさて

『僕達は戦争を知る世代から直接バトンを受け取ることができる、最後の世代』。『モノクロ写真をカラー化』した写真集「時をかける色彩」が四つの短編を編み上げていくこの作品。そこには、カラー化したからこそ今の時代に伝わってくる『モノクロ』の時代との繋がりを意識する人たちの姿が描かれていました。文字だけの小説に『写真集』を描き出すという巧みな描写に魅了されるこの作品。『モノクロの夏』に写し込まれたあの時代のことを決して忘れてはいけないと改めて感じるこの作品。額賀さんの強い意気込みの先に生まれた素晴らしい作品でした。

2023/12/24

いつでも母さん

『時をかける色彩』と言う写真集がリンクする4話の短編集。私自身シベリア抑留の父を持ちながら、太平洋戦争体験話を引き継げる最後の世代にも拘らず「平和教育の落ちこぼれ」なのだろうと思ってしまう。特に4話目はガツンガツンと突き付けられた感じだった。戦争や震災について薄っぺらな口先だけで、さも真っ当のような言葉を並べて・・そんな自分に食傷を感じた事は一度や二度じゃない。だけど、だけどなんだ。『僕達は未来にしか約束をすることができない』この言葉が私を掴む。あぁ、沢山の方に読んでもらえますように。

2022/08/17

おしゃべりメガネ

青春モノのイメージがある額賀さん作品ですが、まさかまさかの戦争モノで驚きました。語り口は現代ながら、話のテーマは戦時中のモノを扱い、4話からなる構成の中で微妙にリンクしていく描写は読むモノを飽きさせるコトなく、さらさらと読み進めていけます。最終話に登場するハーフの高校生「レオ」とワケあり雰囲気な「桜太」との奇妙な友情物語は額賀さんならではの関係性で、じんわりくるモノがあります。戦争も震災もどちらも当事者にしかわからないコトがあるのでしょうが、我々も決して傍観者ではなく、何かしら知っていく必要がありますね。

2022/08/24

のぶ

これが額賀さん流の戦争小説なのだろうか。戦時中のモノクロ写真をAIの技術を使ってカラーにして掲載した「時をかける色彩」という写真集が刊行されたことで、この写真集をキーワードに太平洋戦争の記憶を若者がいろいろと考える4つの話。愉快な話ではない。確かに戦争を知らない世代には、当時の事はモノクロでしか残っていない。でも当然、色は存在したのだ。だんだん色あせていく時代を色彩で蘇らす事には賛否があるだろうが、遠い昔の話のはずだった戦争を近くに感じたときに、現在の平和な時代のありがたさを改めて痛感させられた。

2022/07/30

fwhd8325

こうした戦争へのアプローチもあるんだなと感心しました。生意気なようですが、若い方がこういうことから戦争への自分の考えを持つことは大切だと思いました。バランスの良い、心地よい作品でした。

2022/10/12

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