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異形のものたち: 絵画のなかの「怪」を読む (NHK出版新書 651)

異形のものたち: 絵画のなかの「怪」を読む (NHK出版新書 651)

異形のものたち: 絵画のなかの「怪」を読む (NHK出版新書 651)

作家
中野京子
出版社
NHK出版
発売日
2021-04-12
ISBN
9784140886519
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異形のものたち: 絵画のなかの「怪」を読む (NHK出版新書 651) / 感想・レビュー

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みっちゃん

一番印象に残ったのは表紙にもなっている(でも私が図書館から受け取ってきたのはオレンジ1色の味気ない装丁)セガンティーニの『悪しき母たち』何が悪なのか。それは「堕胎」彼女たちは雪と氷に覆われた地獄で、永遠に樹木に縛りつけられる。枝から生えてきた首だけの赤子が乳房にむしゃぶりつく。私の心に沸いた疑問を中野先生が代弁して下さる。「女を孕ませて棄てた男の地獄はどこに?」ハーピー、メデューサ、セイレーン、魔女。そう言えばひとを破滅させる化物はほぼ女だなあ。絵画が長らく女性には閉ざされていたのだから仕方ないかね。

2021/08/05

trazom

尋常ならざるものを描いた作品31点が、人獣/蛇/悪魔と天使/キメラ/ただならぬ気配/妖精・魔女/魑魅魍魎の7章に分けて紹介される。インパクトのある図像が次々に登場し中野さんの博識の解説が躍るが、どうも心に残らない。そんな時、白洲正子さんの武相荘に掛かっていた「犬馬難、鬼魅易」(けんばむつかし、きみやすし)の短冊を思い出した。「鬼や魑魅魍魎などの奇異なものを描くのは簡単だが、犬や馬などの平凡なものを描くのは難しい」という韓非子の故事である。白洲さんが大切にされたこの言葉の中にこそ、芸術の本質がある気がする。

2021/05/06

KAZOO

西洋絵画を様々なジャンルに分けて、しかも新書などで紹介してくれて身近なものにしてくれた中野さんの「怪」を題材とした私にとってはうれしいものでした。7つの章に分けてたくさんの絵画を紹介してくれています。私の比較的好きなベックリンやフュースリの絵もあります。ベックリンの「死の島」をエイリアンのデザイナーのギーガーが書いていたとは知りませんでした。また表紙のセガンチーニの絵も見たことがなく現物をみたくなりました。

2022/08/29

rico

秋の夜長、ハロウィンも近いし?・・・ということで「怪」にひたってみたけど、何だか画家の皆さま、楽しんでません?神話とか宗教とかをテーマにしつつ、自由奔放に怪し気なものを描いているような。ついでにエロも。その中で「不可視の恐怖」をテーマにした章は異質。「死の島」あたりは想定内ですが、ハマスホイの静謐な世界をここにもってくるとは。カバーにもなってる堕胎の罰を受ける女性たちを描いた「悪しき母たち」に、男はどーした!と怒ってたら、「孕ませた男の地獄はどこ?」とちゃんと突っ込んでくれてました。さすが中野さん。

2021/10/13

きみたけ

著者は作家、ドイツ文学者の中野京子氏。西洋の歴史や芸術に関する書籍執筆、雑誌連載をはじめ、講演やメディア出演など幅広く活躍。名画の中の様々な「異形のものたち」を取り上げ、それが生まれた背景を解説しています。人獣・蛇・悪魔と天使・キメラ・ただならぬ気配・妖精 魔女・魑魅魍魎の7つの章立て。ケンタウロスや人魚など人間と他の生物との合体は見慣れていて違和感はないが、特に中世のクリエイティブな異形さが際立っていたように感じました。最後までオールカラーでたくさんの絵画が出てくるので楽しめます。

2021/11/27

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