読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

NHK出版 学びのきほん はみだしの人類学: ともに生きる方法 (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)

NHK出版 学びのきほん はみだしの人類学: ともに生きる方法 (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)

NHK出版 学びのきほん はみだしの人類学: ともに生きる方法 (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)

作家
松村圭一郎
出版社
NHK出版
発売日
2020-03-25
ISBN
9784144072543
amazonで購入する Kindle版を購入する

「NHK出版 学びのきほん はみだしの人類学: ともに生きる方法 (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)」の関連記事

「わたし」ってなんだろう? 「あなた」との関わりから「わたし」を考える【読書日記35冊目】

2020年11月某日

“彼ら”の存在に気付き始めたのは、大学生のときだった。

 最初はガラス越しに景色を見ているような気分になるだけだったけれど、そのうちに私の身体を使って誰かが話しているような感覚に陥る。声を発しているのは私、目の前にいる人が私の名前を呼ぶから〈私〉は私にも紐づいているのだろう。けれども、インストールしたソフトが暴走するような、憑いた霊が〈私〉を操るような心地に、〈私〉が単一の私だけで構成されているという観念がしっくりこなくなった。

“彼ら”は複数人いて、しかも唐突に現れたり消えたりする。ガラスの内側に急に押し込められたり、現実にはたと置き去りにされたりする〈私〉は、“彼ら”を苦々しく思うこともあった。

 けれども、〈私〉の体調が悪いときに執筆仕事や人とのコミュニケーションを“代わってくれる”ことには随分と助けられていた。“彼ら”は〈私〉よりもずっと書くことや人と喋ることなどに長けていて、“彼ら”が表に出ているときに限って文章や人当たりの良さについて褒められることが多い。周囲の人たちはそれを私の功績として褒めてくれるけれども、それ…

2021/1/12

全文を読む

関連記事をもっと見る

NHK出版 学びのきほん はみだしの人類学: ともに生きる方法 (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

アキ

学びのきほんシリーズ。丁寧に理論を積み上げており、人類学というとっつきにくい学問も身近に感じる。「わたし」とはそもそも何か?「人間は社会的動物である」という点でつながりには他者の存在が不可欠で、他者により自分との境界を意識する。しかし異文化を研究するにはわたしを開いておく必要があると説く。差異を強調して輪郭を強化するつながりより、輪郭が溶けだすようなつながり、はみだすような動きが重要だと。効率的な直線の線のようではなく、フリーハンドの線のような生き方にこそ生命の動きを感じられる、ということに共感します。

2020/07/01

かふ

人類学の本はこれまで読んだことがなかった。社会学や民俗学との境界もよくわからんが、ここで問題とされる「人類学」はサイード『オリエンタリズム』の批判で異文化研究として植民地(差異)を同化させるのではなく、境界を超えていく手法(フィールドワーク)、他者を変えるのではなくて自ら変わっていく「つながり」と「はみだし」、「私」が揺さぶられる経験こそが「私」を世界にひらいていていく。「私」という唯一のアイデンティティよりも関係性の中の「私」→「分人」の中で個人を超えてお互いに関係し合うことで境界を超えていく。

2020/06/21

優しい語り口で内容も平易ながら得られるものは大きい良書。人間って意識的にも無意識的にも他者と境界線を引くことで自己を意味付けているんだな。その境界をあえて飛び越えて自分を変容させてみる。個人はさまざまな属性を同時に有しているにもかかわらずそのうちの一つだけが異常に強調されがちな時代。アイデンティティを煽る政治にはちょっと身構えたほうがよい。そうか、自己責任論って平等主義の極致だったのか。

2022/02/13

ほし

個人的に気に入っている「学びのきほん」シリーズ。「うしろめたさの人類学」などの著書も有名な、人類学者の松村圭一郎さんの一冊です。人類学はどのような手法・思考で社会を捉え、他文化との差異や繋がり方を模索してきたのかが、分かりやすく語られています。本書の中で松村さんが提案しているのは、他人との差異、境界を強調する「共感のつながり=直線の生き方」だけでなく、わたしが他者との交わりのなかで変わっていくような「共鳴のつながり=曲線の生き方」も意識して日々を送ること。排外主義が拡がりつつある今、お勧めしたい一冊です。

2020/03/29

スイ

『「宗教」や「国境」という線引きだけで私たちは「分断」されているわけではない。むしろ、その境界がひとつしかないとする前提こそが、深い「分断」があるかのようなイメージをつくりだしている。』 良かった。 人類学、とはどういうものか、言葉のイメージだけで間違った思い込みをしていたのだけど、血の通った言葉でわかりやすく説明してくれている。 それだけでなく、人類学の専門家でない多くの人たちの現在の日常に繋がっていくように述べられているのが更に良い。 家庭と学校や職場以外のサード(できればもっと多く)プレイスを

2020/05/19

感想・レビューをもっと見る