蘭に魅せられた男: 驚くべき蘭コレクターの世界
蘭に魅せられた男: 驚くべき蘭コレクターの世界 / 感想・レビュー
水蛇
マニアというのは趣味や職業じゃなくて宿命なのだ。ここまでじゃないけど似たようなふうにしか生きられないからよくわかる。そしてそれは根本的に楽観家だということでもあると思う。「あるものを情熱的に愛する」ことで「世界は茫漠とした空虚な空間ではなく、可能性に満ちあふれている場所のように感じられるだろう」と著者が熱狂の中で悟ったように、この世界には底なしの美しさが眠っていてそれに出会うべく明日も自分の命は続くと信じる人間の特権。蘭は苦手なお花だからこそすべてが新鮮でおもしろかった。
2024/03/25
よっちゃん
マニアと呼ばれる人種は往々にして常軌を逸するところがあるものだが、どうやら蘭マニアはその上手を行くものらしい。分業化されていて、人跡未踏のジャングルに新種を求めて命をかける人たち、それを密輸する業者、種に放射線をあてて突然変異を期待する人たち、珍奇な品種を大量生産する栽培業者、いかがわしい流通業者そして、末端の愛好家の群れ、さらに、それを品定めする評者とそれぞれが血道を上げて夢中になるもののようだ。風雅とはかけなれた世界であることを理解した。 古書収集家の犯罪小説はあるが、蘭は初のお目見えである。
2003/05/03
黑猫
2002年4月5日読了
2002/04/05
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