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ヴェネツィアの宿

ヴェネツィアの宿

ヴェネツィアの宿

作家
須賀敦子
出版社
文藝春秋
発売日
1993-09-01
ISBN
9784163479705
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ヴェネツィアの宿 / 感想・レビュー

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フェニーチェ劇場の広場に面する宿に泊まった夜、聴こえてくる音楽に身をゆだねながら、亡き父に思いをはせる「ヴェネツィアの宿」を皮切りに、須賀さんの父母、夫や友人たちにまつわるお話が、計十二話つづられています。「ヴェネツィアの宿」は、何度も繰り返しよみたい名作。また、父との別れを描いた「オリエント・エクスプレス」は、涙なしにはよめません。『トリエステの坂道』よりも、いっそう須賀さんとの距離が近く感じられる作品だったように思います。苦悩や葛藤が描かれていたからこそ、感情移入しやすかったのかもしれません。

2015/08/19

アマヤドリ

家族のものがたりに胸がいつまでもつうんとする

2011/08/31

sasa-kuma

情景がくっきりと鮮やかに浮かび上がりまるで色つきの夢を見ているような心地。エッセイだけど小説的。空気中に漂うように流れる文章。久しぶりに読んだ須賀敦子さんのエッセイ、やっぱり大好きだ。日本、イタリア、フランスでの日々、家族のこと、出会った人たちのこと、章の構成のバランスが素晴らしい。

2013/04/28

algon

乱暴な言い方をすれば「お嬢様の自分探し」なのだが、夫を亡くし帰国後教職に就きながら翻訳から文筆業にシフトしていくという人生の初期、彼女らしく真摯で誠実な生き方の姿勢がこの1冊だけでも好感を持って受け入れられる。フランスからイタリアへ留学先を変えながら将来を探す著者は戦後間もない頃には恵まれた先駆者だったのだろう。しかし「カティアが歩いた道」他のような優れた作品を読むとこの作家が生成してきた歩みを知りたくなる。それほどの魅力を持った美しい文体だった。不勉強ながら全く未知の作家で読む傍らETV動画などで勉強。

2019/07/29

amanon

著者の手による文章の美しさ、巧さには本当に惚れ惚れする。特に印象的だったのが、著者の父親に関する幾つかのエピソード。わがままでエゴイストなのにも拘らず、ここぞというときに寛容さや憎めなさを示すというところが何とも言えずグっとくる。こういうのが明治の男だったのだろうか?そして、死ぬ間際まで娘のヨーロッパ土産を待ち続け、それを目にした翌日に帰らぬ人となったという話には、涙を誘われる。嫌味にならない育ちの良さと、深い教養を兼ね備えた美文家…こういう人は、今後そうそう現れないだろうな…

2011/09/21

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