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ドナウよ、静かに流れよ

ドナウよ、静かに流れよ

ドナウよ、静かに流れよ

作家
大崎善生
出版社
文藝春秋
発売日
2003-06-01
ISBN
9784163597409
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ドナウよ、静かに流れよ / 感想・レビュー

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ライアン

ビブリオ用に再読。初めて読んだ時はがっつり3日間ほど落ち込んだ。2001年にウィーンで起きた33歳自称指揮者と19歳女子大生が心中したお話し。歩冬のルーマニアで出会い奇妙な付き合い方をした2人が8ヶ月後ドナウ川に身を投げる。精神病歴があり虚言壁と奇行が目立つ男性の世界に同化されるように。彼女の両親は男に殺されたというが、ウィーンでの2人を知る人に著者が話を聞くとルーマニア時代とはまた違う2人の世界を知る。決して殺されたわけではないのだ。巻末の留学前の彼女の写真が実話だと感じさせ痛ましく思い重さを増幅させる

2014/11/27

Mabel

実話を題材とした小説。知人の娘である大学生とその交際相手が心中するまでの軌跡を辿る。なぜ死んでしまったのか...は結局のところ本人にしか分からない。親でさえも傍観者でしかない。彼女の短い人生の中でほんとうに幸せを感じられた瞬間はあったのだろうか。

2018/07/16

fanfan

遥かヨーロッパのドナウ川に自ら身を投げた19歳の少女と30代の指揮者を名乗る日本人。小さな死亡記事に何かを動かされた筆者によるノンフィクション。エキセントリックな日実という女の子の生きざまと精神を病んでるであろう恋人の日々を取材しつつ、大崎さんならではの美しい文体による主観がところどころに散りばめられています。途中から小説を読んでいるような錯覚に陥るほどの、ドラマティックな流れ。巻末の日実さんの写真を目にして、こんな哀しいほどに尊い愛し方があるんだな。と愕然としてしまいました。

2015/02/06

イチ

ノンフィクション。事実は本人たちにしかわからない。もしかしたら本人たちにすら何もわかっていないかもしれない。でも、そこに素敵な意味があればいいと感じた。大崎さんの根性と、一見したら暗く混沌とした事件へ一筋の光を射す言葉に打たれた。なかなか重いがノンフィクション作品に興味を持たせる一冊。

2010/10/02

mataasita

死んだ2人に共感できる部分が少なくてはまらなかった。生きづらさを抱えて見栄と虚勢を張り続けた弱い男。宗教にはまるかのように男に傾倒した女。ただ、大崎の想像と死者との対話は井上靖の星と祭を、思い出した。死に意味を見いだすしか残されたものたちにはできることはないのだから。親や家族にもっと支えてもらえていれば異国でいのちを落とさなかったかもと思うと、悲しい。

2018/10/21

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