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ママがやった

ママがやった

ママがやった

作家
井上荒野
出版社
文藝春秋
発売日
2016-01-16
ISBN
9784163903750
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ママがやった / 感想・レビュー

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starbro

以前から気になっていた井上荒野、初読です。勝手に年下だと思っていたら、年上の作家でした。本作は連作短編集的長編小説です。冒頭の「ママがやった」から章毎に各家族が主人公となり最終章の「縦覧謝絶」に傾れ込んでいきます。本作の父親は著者の父親、井上光晴がモデルでしょうか?いずれにしても繁殖能力が強く、女性にもてるヒモのような父親がいると、家族に色々な影響を与えるのかも知れません。

2016/02/02

夢追人009

直木賞作家・井上荒野さんの不幸な家族を描いた異色の連作長編小説。私は荒野と書いて「あれの」と読む事や本名である事や女性である事や御父上が文学作家の井上光晴さんである事も恥ずかしながらまるで存じ上げておりませんでした。79歳の妻が72歳の夫を突然に殺した理由は言葉で具体的には語られませんが、やはり長年の間に溜まって来た感情が一気に爆発したのでしょうか。この永遠の女たらしの男が全ての元凶で、生きるのが下手な二女一男の人生に影響し、妻は夫が永遠に繰り返すだろう大勢の女達への罪深い行いを止めたかったのでしょうね。

2019/05/14

おくちゃん🌸柳緑花紅

さすが井上荒野作品‼ママがやっちゃったのは。。。ある家庭の半世紀。どうしょうもない男なのに惚れてしまう女性って確かに居るんだよね。共感するとかしないとかを越えた作品。タイトルが巧い‼かなり古いけど火野正平さんってこんな感じの人なのかなぁって思いながら読了。パパが書いていた私小説?のなかの時子の紹介は痛々しい。

2016/03/28

めろんラブ 

ママがやった。さて、何を。それは冒頭で明らかにされるが、なぜやったのか。ホワイダニットのミステリーのようで、そこに本質はない。老齢の夫婦と中年期の三人の子供。時代を行きつ戻りつ進む五人の物語は、まごうことなき家族の軌跡だ。はたから見れば歪でも、何十年と培われてきた家族間の空気は、思考停止を生み出す無言の掟となる。家族という人間関係がはらむ危うさを、おそらく誰もが抱えている。もちろん、私も。愛憎と狂気と日常と。震えるほどの不穏さを冷笑をもって描く、この上なくクールな逸品。

2016/07/06

ネギっ子gen

帯に、<なぜ百々子(79)は夫(72)を殺したのか 或る家族の半世紀を描いた愛をめぐる8つの物語>とあるが、最後まで「なぜ」への回答は、明確に示されないまま。逆に<理由を知ってどうするの。理由がわかると何か事態が好転するわけ?>という反問まであったりする。「退屈」を晴らすために「出任せ」人生を送る「精神年齢」が「十歳くらいのガキ」である父親と暮らしてきた家族にとって、「やった理由」を考えることさえ、鬱陶しいことであろう。家族の関係性から、家族の一員それぞれ(温度差あり)が「出任せ」病に罹患したケースか。

2019/11/21

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