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アジア発酵紀行

アジア発酵紀行

アジア発酵紀行

作家
小倉ヒラク
出版社
文藝春秋
発売日
2023-11-14
ISBN
9784163917771
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「アジア発酵紀行」のおすすめレビュー

発酵デザイナー、アジア奥地を行く――唯一無二の旅で発見する、日本の食文化の源流

『アジア発酵紀行』(小倉ヒラク/文藝春秋)

 旅の切り口は人それぞれですが、食を目的に出かける人も多いでしょう。そしてその中でもさらに絞り込んで特定のカテゴリを極めるようにすると、誰にも真似できないオリジナルな旅になることを教えてくれるのが『アジア発酵紀行』(小倉ヒラク/文藝春秋)です。

 著者の小倉ヒラク氏は大学で文化人類学と発酵学を修め、そこにデザイナーの経験を混ぜ合わせ、「発酵デザイナー」というオリジナルな職種を打ち立てました(このキャリア自体が、ユニークな発酵過程と様々な素材のブレンドを経たクラフトビールのようです)。

『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』(木楽社)で見えない微生物から社会を解説し、『日本発酵紀行』(KADOKAWA)や『オッス!食国 美味しいにっぽん』(KADOKAWA)でその洞察を日本列島を股にかける旅に変身させた小倉氏は、本書でついに海外進出します。バックパッカーとして世界各地をまわった経験を持つ小倉氏にとっては「新しい味」を発見していく旅というより、かつて出会って脳裏に残っている「懐かしい味」の記憶を、発酵デザ…

2023/11/29

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アジア発酵紀行 / 感想・レビュー

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パトラッシュ

直線距離では近いが心情的には最も遠いアジアの辺境地帯に、日本独自の発酵の素とされる糀の姉妹が存在するのでは。中国雲南省からネパール、インドの知られざる奥地まで辿る著者の好奇心に満ちた旅は、無数の少数民族が守り伝えてきた未知の発酵酒食を紹介していく。リス族はクモノスカビから甘酒を醸すと知り、味醂の源流とも言うべき酒を発見し、原始的な納豆はカエルの唐揚げにつけて食べる。第二次大戦の激戦地だったインパールは発酵の聖地であり、馴鮨に近い魚の発酵食が全ての味の基本だった。人の築き上げてきた食は、まだ謎に満ちている。

2023/12/28

宇宙猫

★★★ 3章くらいまでは景色の描写や発酵の細かい説明が多く、発酵と言ってもお酒ばかりだしで退屈で挫折しそうだった。その後は、お茶、染色、食品などの話になり、人とのエピソードも増えて面白くなった。少数民族の文化など魅力的な素材なのに、文章力で損をしている感じ。学者さんだからな。

2024/03/15

imagine

昨今の発酵ブームを巻き起こした著者の新作。アジア編ということで高野秀行の納豆本を思い出したが、匹敵する力作(高野氏の名前も巻末にクレジットされている)。壮大な旅程を踏破してゆくメンタルとフィジカルを併せ持ち、現地の食文化だけでなく、政治や宗教まで丹念に情報収集している著者のタフネスさに驚く。文体は軽妙で伝わりやすいが、その奥に、発酵に関することは自分が成し遂げる、という強い意志が滲んでいる。滞在先の発酵食品で、土地の人と繋がる感覚は読んでいてハッピーな気分にさせられる。世界紀行編も気長に待ちたい。

2023/12/25

Eddie

実は発酵食品は苦手なのですが、それでもこの東南アジアから南アジアの食文化への興味は尽きることがありません。 カラー画像もっと欲しかったですね。

2024/02/26

ますりん

告知を見て発売日に購入。面白くて一気読み。二部に分かれていて、ひとつは主に雲南省を南から北に移動して、茶馬古道を巡るもの。プーアル茶は北の高地の厳しい場所に住む人々のビタミン源として、貨幣のように扱われ、様々な国や部族の人たちを渡りながら運ばれていく、ってなんて壮大な物語。もうひとつは日本の糀(麹ではなく)のルーツをたどって、雲南省からミャンマー、北東インド、インドへと西から東へと旅する。お茶の発酵による区分や、お酒など発酵の手順など、発酵のことを学ぶのにもわかりやすい本。「日本発酵紀行」とセットでぜひ。

2023/12/01

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