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戦狼中国の対日工作 (文春新書 1436)

戦狼中国の対日工作 (文春新書 1436)

戦狼中国の対日工作 (文春新書 1436)

作家
安田峰俊
出版社
文藝春秋
発売日
2023-12-15
ISBN
9784166614363
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戦狼中国の対日工作 (文春新書 1436) / 感想・レビュー

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HANA

中国が最近展開している闘争を前面に出した「戦狼外交」。本書は中国の外交官やプロパガンダに協力している日本人などに取材し、その実態を明らかにした一冊である。とはいうものの、その外交の内容を読んで感じる事は「雑」という事。外交というとインテリジェンスに満ちた丁々発止の遣り取りを想像しているのだが、勇ましい事を言うのは全て内向きへのアピールというのが何とも。という一方で秘密警察の派出所や沖縄への工作を見ていると、その雑さで何を仕出かすかわからない恐ろしさもあるので。現代中国の方向性を考える一つの助けとなります。

2023/12/21

ピオリーヌ

農村土豪ムーブと呼ばれる近年の中国。農村土豪とは地方の農村部出身の成金を指す中国のネットスラングであり、彼らの価値観はシンプルで、相手よりも多くのカネや力を見せつけさえすれば他人は自分を尊敬し、いう事を聞くと考えている。いっぽう、そんな自分の姿が第三者の目にどう映るかを想像したり、相手の立場を慮って行動したりすることは苦手である。緻密な計算もリスクコントロールもなく、近視眼的な価値観で力任せに棍棒を振るい続ける戦狼中国の体制は、このようにして生まれている。世界二位の国力を誇る、高度な国民監視網に支えられた

2024/03/13

羊山羊

果たしてこれを中国一国の工作活動と呼ぶべき なのだろうか。機関、各個人が各々の利益の為に 底の見えない活動を見せる様は、まぁ何とも不気味で ある。只、各個の利益が再優先であるため、それが中国国内の問題の延長線上である為か、外交問題というより、刑事ドラマの各課の点数争いや派閥争いの様子を見ているような印象を受ける。一方で、この問題で脅迫されたり迫害を受けているのは、日本や諸外国に移り住んだ中国人達であり他国への尽大な権利侵害であることに疑いの余地がない。

2024/04/20

さとうしん

低レベルな人材による拙劣な工作を繰り広げる海外派出所の話に対し、習近平自身の現地体験と深い現地の歴史への理解が生かされた黄檗宗や沖縄へのアプローチのアンバランスさが印象的。農村土豪ムーブによる中国の圧力に対して、著者が毛沢東の戦略を参考にしろと説くのが面白い。著者の中国体験に中国理解が有機的に結びついている。竹内亮夫妻が政治に興味がないにも関わらず結果的に中国政府のプロパガンダに加担してしまっているというのは、日本のノンポリなクリエーターが国家のプロパガンダに加担するという姿と二重写しのようである。

2023/12/22

電羊齋

著者も指摘しているが、「戦狼外交」や「対日工作」は金と力と人海戦術で正面突撃し、実行者たちはどこまでも自分たちの内向きの論理で行動し、横の連携をせず、北京を向いて仕事をし、自分が他人からどう見えるかという視点に欠けている。本書を読み、これらは王朝時代以来の中国官民の行動パターンと心理そのままで、要は中国政府・党は今まで国内でやってきたことを海外でやっているに過ぎないのではないかと思えた。それゆえに硬直的で強硬、またそれゆえに脆弱で危なっかしい。世間で流布される「したたかな中国」とは異なる実情がわかる本。

2023/12/15

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