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イルカと墜落 (文春文庫 さ 2-15)

イルカと墜落 (文春文庫 さ 2-15)

イルカと墜落 (文春文庫 さ 2-15)

作家
沢木耕太郎
出版社
文藝春秋
発売日
2009-11-10
ISBN
9784167209155
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イルカと墜落 (文春文庫 さ 2-15) / 感想・レビュー

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びす男

「ブラジルでの取材旅行で乗った飛行機が墜落する」という希有な体験が、沢木耕太郎の手によって綴られている。飲み屋の話からはじまった冒険譚が魅力的でうらやましい。飛行機が堕ちるのは嫌だけど。大変な目にあっても、「そんな私をどこかで面白がっている」自分がいるらしい。その客観主義が、独特なものの見方と、聞き上手さの源になっているのだろうと感じた。何にしても、面白い体験を沢山している人だ。フットワークの軽さの賜物であるだろう。あとがきに取材同行者の寄稿が載せられているのも、種明かしのようでニクい構成だった。

2015/05/26

びす男

好きな作家の文章で、「飛行機事故からの生還」を追体験できる。よく考えたら、本好きには最高の贅沢ではないか■二度にわたるアマゾン奥地への旅を、「イルカ記」と「墜落記」の二編にまとめた。NHKと合同取材とあるが、読んでいると、かなり手探りで現地にいたことが分かる■それでも、飛行機は墜落し、番組もできる。本も書ける。やはり「現場」では何かが起きるものだ。現場の力ってすごいな、と圧倒された■NHKクルーの解説も、これに重なる。現場の力を信じるのが沢木さんのスタイルだった、と。ライターにとっては金言に近いだろう。

2021/08/31

たらお

「死はそこにあるだけ」セスナで墜落した経緯を書いたものだが、思うのは沢木さんであっても自分主体でない、ヤノマミのNHKディレクター国分拓さんと一緒にブラジルについて行くといったときには事件があっても文章の熱量が下がるということだ。取材は中途半端なものとなり、墜落したことで話は書けたが、死を垣間見たことで自分は変わったかと言われれば「変わらない」と書く。口に出た言葉は「マジか。」で、そんな言葉しか出なかったことに沢木さん自身驚いている。紆余曲折の上での墜落ではなく突然だと案外それがリアルなのだろうと思った。

2022/11/26

やどかり

ピンクイルカと墜落譚の二本立て。イルカは墜落に続く序章で、幻想的な光景や先に起こる事故を予感させるようなこともありこちらもおもしろい。奇跡的な生還だけど、意外に淡々としている、でも全く飽きさせない旅行ルポルタージュ。

2015/06/21

さとむ

向田邦子と沢木耕太郎。不慮の事故による死と生。生前会ったのは1度きりにもかかわらず、互いの関係性や対照性は運命的だ。沢木耕太郎が旅行前に感じだ「虫の知らせ」のようなものを、向田邦子は感じたのか否か。そして、墜落にいたるまでどう感じ、何を思ったのか。もし、自分がそういう状況に置かれたらどうするんだろう…。そんなことを、あれこれ考えながら読んだ。ますます、ふたりのことに関心を向かわせてくれた一冊。

2014/10/18

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