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乃木希典 (文春文庫 ふ 12-6)

乃木希典 (文春文庫 ふ 12-6)

乃木希典 (文春文庫 ふ 12-6)

作家
福田和也
出版社
文藝春秋
発売日
2007-08-03
ISBN
9784167593063
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乃木希典 (文春文庫 ふ 12-6) / 感想・レビュー

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春風

10年前に書かれた乃木希典の評伝。司馬遼太郎が精神主義者として、そして軍事面では愚将であるように造形したことから、一般的な認識がそのようなものなってしまっている。本書では、そうやって貶められた乃木希典像の再考を試みている。しかし、軍事面の考察は避けているので、司馬氏のそれと大きく逸れた評伝にはなり得ていない。ただ精神主義者としては、その人格者としての乃木を「立派な人物」として評価しているため親乃木の雰囲気が強い評伝だ。司馬があまり触れていなかったドイツ留学についてなどにも触れており、この点興味深く読んだ。

2017/06/26

千加

善通寺市には「乃木うどん」や記念館がある。近くの金倉寺(ごんぞうじ)に「妻返しの松」とか。…でも知らなかった本当の姿。世間はデリケートな戦争関係の事は、公にしない。空海を教えるように乃木も教えるべきだ。弱い人間が、いかに有徳であるべきと生きた姿の彼が愛おしい。自殺も指揮官として人の命を殺めた事実も消えない。でも苦しんで戦争をした時代の上に今の私達がある。私は明治天皇も乃木希典(のぎまれすけ)も好きだ。🌿本の最後に「解説」があり、ここは重要。小説でなく、真実に近いであろう姿を知ってほしいから。🌿🌿

2021/05/23

誰かのプリン

司馬遼太郎作品に登場する乃木大将は、何の戦略も持ち合わせない無能な指揮官として描写されているが、本書では、戦略を持たない指揮官能力には問題としていない。寧ろ下士官、兵には優しい一面を取り上げ徳のある指揮官として取り上げている。どちらが正しい見方なのか?他の著者の本を読まなければ。

2020/03/20

ユウキ

この本を読む限り、乃木さんが「立派な人」だったかどうかはわからなかった。ただ、西南戦争以降、常に死地を求め続けながらそれが叶わず、さらに部下たちを幾人も幾人も死なせてしまったという悔悟の中で生き続けたことだけはよくわかった。そんな自分だからこそ自分自身を呪い、そして血のつながる身近な人にも冷淡でいられたのかもしれない。生き恥まみれと思い込んだ乃木さんは自ら描いたロールモデル「立派な軍人とはかく有るべし」といったものを生涯演じ続けた人なんだとおもう。その総決算としての殉死。何だか何もかも悲しい

2018/02/04

長野秀一郎

「立派な人が、いない」とは書き出しの一文だが、私も同感である。現代も有能な人間は沢山いる。だが彼らは往々にしてブラック経営であるとか、あるいは婚外子が少なからず存在するとか、人間的に尊敬できる人物ではない。それらに対して乃木は、有能ではなかったかもしれないが情の人であった。戦死した兵には私費で家族を支援したり、公の場で謝罪する。本来であれば将ではなく王の器である。それを知っていた明治様が御孫たる昭和様の付育を命じたのも合点がいく。人には理も、情も必要なのだ。評価4+

2017/06/11

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