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山本周五郎名品館I おたふく (文春文庫 や 69-1 山本周五郎名品館 1)

山本周五郎名品館I おたふく (文春文庫 や 69-1 山本周五郎名品館 1)

山本周五郎名品館I おたふく (文春文庫 や 69-1 山本周五郎名品館 1)

作家
山本周五郎
沢木耕太郎
出版社
文藝春秋
発売日
2018-04-10
ISBN
9784167910556
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山本周五郎名品館I おたふく (文春文庫 や 69-1 山本周五郎名品館 1) / 感想・レビュー

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KAZOO

ノンフィクションライターの沢木耕太郎さんが約300篇ある山本周五郎の短編から選んで4冊の本にしていくようです。この最初の本には女性が主人公となる作品が9つ収められていて沢木さんが選ぶ観点というものが若干わかる気がしました。私は表題作をはじめとして読んだものがあるのですが全て楽しんで読みました。特に最初の「あだこ」という作品は読んだことがなく笑ってしまうところやほろりとさせるところなどがあり佳品でした。沢木さんの解説エッセイもいいですね。2巻目以降も楽しみです。

2018/06/20

じいじ

読みながら徐徐に、周五郎の描く物語の中に溶け込んでいくのが何とも心地よい。どの短篇も面白いのだが、私的には表題作が特に好きです。かざり職人貞二郎とおしず(自称おたふく)の晩婚の夫婦愛の物語。周五郎が描くおしずの容姿は、とても艶っぽいです。私はおしずの気質が気に入りました。ひかえめで他人への思い遣りがとても魅力的です。さしずめ現代なら、「理想の女房?」のNo.1になるでしょう。無骨な男の嫉妬心、妻への想いに胸が熱くなりました。いろんな「女」を描いた短篇集、結びに余情を残す物語です。再読したくなる一冊です。

2018/09/08

佐々陽太朗(K.Tsubota)

流石は沢木耕太郎氏の選んだものだけあり、どれもこれも珠玉の短編。 「あだこ」「おたふく」「ちゃん」「松の花」「雨あがる」、これらどれを取っても男は女次第。男子として生まれたからにはこうした女性と出会え連れ添えてこそ本懐といえよう。 夫婦で人生の喜びを分かち合えればこれほど幸せなことはない。たとえ苦労の多い人生であっても、それも分け合いお互いが支え合うことが出来れば辛さも喜びに変わる。なんだか結婚披露宴のスピーチのようになってしまって気恥ずかしいが、そんなことを言ってみたくなる気分である。  

2018/08/11

ふう

沢木耕太郎が編んだ九つの短編集。女性たちの深い愛、その愛ゆえの強さ、けな気さ、そして哀しさ、切なさが抑え気味の表現で静かに描かれています。思われるより誰かを思い、その誰かのために生きる喜び。夫にさえ気づかせず周りの人々に親切にふるまいながら、自分は粗末な着物を繕い着続けていた武士の妻も、「へんな、たん。」と言って酔っぱらいの父親を気づかう幼い娘も、そう生きることが自分らしく幸せなんですね。

2018/05/22

kawa

沢木耕太郎編・短篇集。「あだこ」「おたふく」「ちゃん」「雨あがる」は既読。どの作品も味わい深いが、やはり、武芸に優れるが、人の良さで浪人暮らしを脱せられない夫婦を描く「雨あがる」が印象的(ベタですが…)。映画(未見)あるようですが、この世界を再現するのは大変なような気がする。炭で目元がまだらな おいそ が目に浮かぶ「あだこ」、峻烈な生き方を己に課す主計と、彼を父のかたきと狙う都留を白黒フイルムで描くような「晩秋」、終幕が哀しい「その木戸を通って」も良い。登場する女性の人物造形を通した沢木氏の解説が秀逸。

2021/04/05

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