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夏物語 (文春文庫 か 51-5)

夏物語 (文春文庫 か 51-5)

夏物語 (文春文庫 か 51-5)

作家
川上未映子
出版社
文藝春秋
発売日
2021-08-03
ISBN
9784167917333
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夏物語 (文春文庫 か 51-5) / 感想・レビュー

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まこみや

会友文緒さんとhautanさんに感謝します。お二人が川上未映子ベストとする所以、納得です。魅力①擬態語と大阪弁の持つ語りの音楽性がまるで舞踏のように文章にリズム感を生む。②情景・心象描写における斬新さは作者の詩人としての特質を示すに足る。③テーマの展開と人物設定における物語作者としての老練さを窺わせる。テーマは「生まれる/生まれない」だろう。吉野弘の詩「I was born」の一節をちらりと思い浮かべた。一部も二部も観覧車が互いの心を繋ぐ契機となる構成は心憎いばかりで、最後の二章のシーンは舌を捲いた。

2023/07/09

ケイ

あれ?『乳と卵』だった?と錯覚して表紙を見直す。はたして、京橋の紀伊国屋書店でここが舞台の小説だとのポップをみたのを思い出す。結局『乳と卵』ではなかったが、それが形をかえただけではないか?豊胸や、初潮、乳首の色とか、人工授精。どれもそんなに真剣に考えたことも悩んだこともないから、何故それほど囚われてしまうのかと気になった。子供が欲しいからとこういうことをする感覚は、ペットを持つのとどのくらいの感覚の違いがあるのだろう。女性しか産めないのは、天然の性差別だな。

2022/10/05

あきら

何気ないけど、それ分かるっていうような表現がものすごくうまい。思考を含めた細かな動作をきわめて分かりやすく表現されていて、物語の中に入り込めました。 クリスマスも出てくるけど、夏っぽさをすごく感じる小説でした。

2021/08/17

優希

不思議な空気をまといつつも淡々としているという印象を受けました。心理的にも情景的にも深みがありますね。キラキラした物語ではないけれど、心に何かが灯るような感覚になりました。いつも感じているようなことが改めて思い返されます。共感することも多く、宝物のような景色を見せてくれました。

2021/08/25

dr2006

夏が全然終わらないので、爽快を求めてこの夏物語を読んだ⒲これが「物語」だとタイトルにしなければノンフィクションではと疑ってしまう程の赤裸々さに引き込まる。やるせない生活に疲労しながら、生殖倫理と心のエゴとの葛藤を描いていく展開は正直言って痛々しい。だが、主人公夏子の生殖への違和感が作者の鋭敏なフィルターを通して見事に言語化されている。会話文と改行が少なくて652Pという圧巻にも関わらず、読者が趣旨を見失わないのは、恋愛が主題の予定調和に終わらなかったせいだろう。様々な受賞も納得。とても良かった!

2023/08/31

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