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鳩護 (文芸書)

鳩護 (文芸書)

鳩護 (文芸書)

作家
河崎秋子
出版社
徳間書店
発売日
2020-10-16
ISBN
9784198651695
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鳩護 (文芸書) / 感想・レビュー

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しんごろ

なんとか不思議な物語。ひょんなことから、鳩を護る“鳩護”(はともり)になる。それは要するに下僕。夢と現実が交差して、椿もこれじゃストレスを感じるわと思う。ストレス感じてもハト子をしっかり飼うところは優しさと可愛さを感じるけど、ストレスのせいだとは思うけど、舌打ちとか態度に出るのは嫌だな。そんな椿、いつか背を伸ばして前を見ていけば、もう貧乏くじを引かず、幸せに向かう気がする。人と鳩の関わりの歴史を学んだ物語でもある。それから、これ読んだから鳩サブレーを食べたいとは思わないのは間違いないね。

2020/12/21

みっちゃん

河崎さんの新境地か。これまでの骨太で硬質な、土の匂いが立ち上ってくるような文章から様変わり。でもこの主人公を身近に感じられるような柔らかな筆致、読みやすくて私は好きだな。ある日、ベランダに迷いこんできた白い鳩。と同時に謎の男に突然背負わされた「鳩護」という「任務」日常に浸食してくるのは夢か幻か、はたまた妄想か。徐々に姿を現す不穏な存在。ちょっとホラーめいたファンタジー。最後まで謎は謎のまま、なんだけど読後感はすっきり。私的には今まで読んだ河崎作品で一番好きかも。

2020/12/16

おしゃべりメガネ

「三浦綾子文学賞」作家で道産子の河崎さん作品ですが、過去作品とはビックリするくらいに作風が異なり、これまでのあの泥臭い北海道テイストなワイルド作品を期待してると、かなり面食らいます。本当にこれ、河崎さんが書いたのかと最後まで疑問に思いながら読了です。ある日、一羽の白い'鳩'に懐かれた「椿」はアラサーで出版社に勤務しているちょっと変わったOLです。そんな彼女が'鳩'との出会いから、不思議な体験を繰り返す日々が始まります。ファンタジーといえばファンタジーなのかもしれませんが、最後まで何とも不思議な作品でした。

2020/11/27

なゆ

読み終わるとテーマは重めだが、独身OL椿が巻き込まれることで読みやすい。「お前は俺の次の鳩護になるんだ」ケガをしてベランダに迷い込んできた白鳩、鳩にまつわる古い夢、それは選ばれたからだと謎の男(弊巻)は言う。どうやら何代にもわたってひっそりと受け継がれているらしい鳩護という役割があるらしい。家畜としての鳩とそれを利用する人間、か。戦時の伝書鳩から始まり鳩にもいろいろ役割があったのに、時代の変化で厄介者にされてしまう。ストレス溜まりまくりの椿がいつしかハト子と心通わせていく感じが微笑ましかった。

2021/02/22

nico🐬波待ち中

27歳の椿は突然、鳩を護ることを宿命づけられた"鳩護"になる。今までの河崎さんとは異なる作風に驚いた。過酷な自然とのリアルな闘いの物語に対し今回は…夢とうつつの間をさ迷うファンタジー?けれどそこは河崎さんらしく、動物が直面する厳しい現実を読者に訴えることも忘れない。鳩が家畜の立場にあることにショックを受けた。先輩鳩護から「猫背」と呼ばれる位いつも背中を丸めてつまらなそうにしていた椿も、鳩護の役目を通して鳩のように飛び立てたように思う。鳩は人の意のままにはならない…人と動物との共存について考えさせられた。

2020/11/28

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