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江戸咎人逃亡伝

江戸咎人逃亡伝

江戸咎人逃亡伝

作家
伊東潤
出版社
徳間書店
発売日
2024-01-26
ISBN
9784198657642
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江戸咎人逃亡伝 / 感想・レビュー

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パトラッシュ

政治腐敗の犠牲となった主家の没落に巻き込まれた中間。親の借財で吉原に身を沈めた絵師の娘。故意に放した罪人を狩り立てる藩主の狂気から逃げるマタギ。無実でありながら世の理不尽で追われる身となった三者が、必死の逃亡劇を展開する。佐渡島から真冬の海に飛び込んだり、狩りの獲物として冬山を逃げ惑う描写は、いずれも「死んでたまるか」という意地と復讐の念が心に迫ってくる。逃亡不能なはずの吉原から消えた遊女の物語は、小泉八雲を思わせる。長編が主力の著者だが、世の断面を鋭く切り取り鮮やかにまとめる短編でも見事な力量を示した。

2024/04/05

えみ

逃げないという選択肢もある。それでも逃げることを選んだ彼らの行動の真意に胸が熱くなる。逃げて本懐を遂げる。逃げるという行動には皆背景があるということを胸に刻んだ。理では割り切れない世の中。身に降りかかる思いがけない罪状。覚悟の逃亡。行き着く先に何が待つのか。追われる者の心にあるのは自分だけではない誰かのための想い。人生まるごと引っ繰り返るその逃亡劇を、その結末を、手に汗握りながら見守った。江戸時代を舞台に3つの逃亡が描かれた時代小説。絶望も希望そこにはなく、ただ決意のみ。事を成し遂げたい!その意志に脱帽。

2024/03/10

しゃが

脱出不可能な孤島佐渡金銀山からの「島脱け」、吉原から大見世の花魁・春日野が足抜け「夢でありんす」、召人を放逐し手下に討ち取らせる「放召人討ち」。追われる者と追う者たちの駆け引きが面白い。歴史的背景やそれぞれの職業の営みや立場、両者の理不尽さも描かれ、捕縛劇は臨場感たっぷりだった、ラストも意外性があった。何よりすべてにおいて詳しい説明に唸った。

2024/03/11

hirokun

★4 私は歴史小説が好きで伊東潤さんの作品も時々読ませてもらっている。今回の作品は、逃亡者を題材にした短編・中編が三作品。現代のエンタメ作品と違いグロテスクな表現もあまりなく、すっきりした気持ちで読み終えた。

2024/02/19

のぶのぶ

 佐渡金山、遊郭、マタギとこの頃、小説を読んでいるので、それとつながり、それから、蘊蓄(知識)も散りばめられ、深めながら、わくわくドキドキであっという間に読了。伊東潤さんの長編を読むことが多いが、短編・中編は、面白い。「放召人討ち」こんな酷いことをしていた藩もあったのだろうか。これにマタギの様子や熊狩りを組み合わせて、映画「ランボー」みたいでハラハラドキドキ。吉原遊郭の「夢でありんす」は、謎解きしながら、遊郭のことが分かり、こちらも興味深い。佐渡島の「島脱け」は、「しろがねの葉」とつながり興味深い。

2024/02/06

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