哲司、あんたのような人間を世の中ではクズと呼ぶんやで
哲司、あんたのような人間を世の中ではクズと呼ぶんやで / 感想・レビュー
ga
フィクションなんだけど一方的に書簡で半生を語る形式がなんというか小説っぽくなく不思議な読後感。幼少時のネグレクトは当にお気の毒、でもその後の風まかせ成り行きまかせのなあなあ人生には腹も立たないけど、なんの気持ちや感情も持てなかった。こんな感じに自己中で無機質に生きている人、結構多いんだろうなぁ・・クズなのかどうかももうよく分からん。もっと野蛮なクズも世の中山ほどいると思うし。それにしても豊田さんよなぁ・・。
2019/02/08
ふじこ
〈金持ちでも、貧乏でも、ええ奴でも、悪い奴でもみんな必ず死ぬんです。〉その日暮らしの果てに廃墟のラブホテルにたどり着いた哲司。最後にパチンコ屋で会った豊田さんに向けて手紙を書きながら、波乱万丈な人生を振り返っていく。いわゆるダメな大人である哲司にだんだん愛着が湧いてくるから不思議だ。仕事は続かず、借金をし、妻と娘を失っても「ダメ」な部分は直らない。ろくでもない人生と人は笑うかもしれない。けれど私は、哲司が幸せだったと思いながら死んでいくことを願ってやまない。
2018/11/08
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
どんなクズなのかワクワクしながら読みましたが。一人語りのエピソードが積み重ねられていく形式にある種の懐かしさを感じました。これがいわゆる「小説」か、と。登場人物の誰も哲司をクズとはののしりません。クズとは思っていてもいわない、ただ手を差し伸べる、それがこの作品で語られている愛なのでしょうねー。図書館本だったので読了してから表紙の裏に貼り付けられている帯をみて、そこにあった愛という文字に、あ、愛の物語だったのか、と遅まきながら気付かされた次第。
2019/04/02
ぬらりひょん
"豊田さん”宛に哲司が一方的に手紙を書く形式で話が進む。自分史のような遺書のような。哲司の人生は理不尽なことだらけで、底辺と言っていい生活だけど、たま〜にいいこともある。この”豊田さん”ってだれだっけ?と思ったら、パチンコ屋で隣り合った男で、ごま油と塩を混ぜたおにぎりをくれただけの人だった。自分の人生を振り返る時、そんな些細なことをふっと思い出したりするんかな。大阪弁の語り口が、シリアスなこともマイルドに包んでくれる。たまたま選んだ本だけど、なかなかよかった。
2023/05/04
りょう
人の暖かいところ、残酷なところ、だらしないところ、それを許す心、許せない心、いろんなことがいっぱいつまってる一冊。
2018/12/09
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