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風配図 WIND ROSE

風配図 WIND ROSE

風配図 WIND ROSE

作家
皆川博子
出版社
河出書房新社
発売日
2023-05-09
ISBN
9784309031088
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風配図 WIND ROSE / 感想・レビュー

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starbro

皆川 博子は、新作中心に読んでいる作家です。著者の新境地でしょうか、小説に詩歌や戯曲を盛り込んだ作品、文学としての格調は高いと思いますが、物語としては・・・ https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031088/

2023/06/14

雪紫

12世紀、男尊女卑な政略結婚生活から交易商人の道を選んだヘルガとその夫の妹、アグネの進んだ航路。あらすじからふたりのシスターフッド的な雰囲気を感じたものの(勿論引き立ってるものの)描かれるのは当時の流通、そして理不尽な環境で春を謳歌するものが、抵抗したものに対する怒り(ざまあ展開を迎えた悪役が逆恨みしてるようなもの)と貫く意志。時折戯曲形式が流れることにより小説を読むというより観客席で終始スポットライトの付いた舞台を見てるような感覚を味わう。そして、静かにもう、終わりと思うほどに最後まで引き込まれていく。

2023/09/06

アイシャ

12世紀のバルト海に浮かぶ島ゴットランド島。15歳のヘルガは望まない結婚式の直後に、難破船の生き残りの商人の代わりに命がけの決闘裁判に臨む。成人男性相手に勝利した彼女は周囲からの冷たい眼を浴びながらも、交易商人として旅立つ。男性社会の中で窒息しそうに生きてきた少女二人の自分探しの物語であり、それを見守るように傍に立つ完全奴隷の男性の愛の物語でもあった。作者が1930年生まれで、つい最近の連載であったことにも驚いた。大きな時間の中では、必死に自由を求めて生きる人々の人生もほんの一瞬の出来事のようだ。

2023/07/21

tosca

皆川博子さん93歳、衰える事のない感性、新作を読めるとは思っていなかったので嬉しい。舞台は12世紀のバルト海沿岸。女性の自由などほぼ無かった時代に2人の少女が自立していく姿を描く。途中で突然、戯曲の形に変わったり、随所に引用される詩が印象的だったり、読みながら楽しくなる。やがてハンザ同盟へと繋がる交易の様子や商人や奴隷など、想像が膨らんだが、せっかくの後半、クライマックスをもっと長く楽しませてほしかった。もう少し若い頃の皆川さんであれば、この壮大な物語は2倍のページ数になっていたのではないだろうか

2023/07/14

rosetta

★★★★☆皆川博子刀自、相変わらずのご健筆で喜ばしい。1160年の北ヨーロッパ。バルト海の真ん中に浮かぶゴットランド島。かつてはゴート人のバイキングの島だったが今はバルト海交易の中継点として栄えている。農民の娘ヘルガは難破したリューベックの商人の権利の為に決闘裁判に臨み、勝ったが疎まれ島を出る。デンマーク半島の根元のリューベックとロシアのノブゴロドを結び、権謀術数、腹の探り合い。年若い者同士の交流。移りゆく時代。不満なのは短すぎる事だけ。うーん、倍ぐらいの頁数でじっくりこの世界に浸りたかった。

2023/06/01

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