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ルサンチマンの哲学 (シリーズ・道徳の系譜)

ルサンチマンの哲学 (シリーズ・道徳の系譜)

ルサンチマンの哲学 (シリーズ・道徳の系譜)

作家
永井均
出版社
河出書房新社
発売日
1997-05-01
ISBN
9784309241890
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ルサンチマンの哲学 (シリーズ・道徳の系譜) / 感想・レビュー

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SOHSA

永井均によるルサンチマン(怨恨)をメインテーマとしたニーチェの読み解き。著者の言説は、いわゆる多数派的な解釈でないところが面白いし、ひとつひとつが腑に落ちる。ニーチェ自身がカントの思想を哲学的には全く理解していなかったということ、特に存在論や認識論をニーチェが主題として語ろうとしたことは一度もなかったこと、にも関わらずその後の哲学史研究家たちの多くがニーチェの仕事を伝統的な狭い哲学概念に取り込んで解釈し勝手に評価していること、等々は改めてニーチェの思想を考える上でとても参考になった。(→)

2014/07/20

yamikin

いつからだろうか、大衆が気軽に会話の中で「ルサンチマン」という言葉を口にするようになったのは。だが、当然ながらその言葉を使っている大半の者はニーチェなんて読んでいないわけで。『超訳ニーチェ』は読んでいるのかもしれないけど。著者によると、ルサンチマンはあくまで自己「肯定」にまで至る感情のことであり、単なる鬱屈とか怨念みたいなものとは区別されるものなのである。つまり、原典にあたれということです。古典は取っ付きにくいので『○○入門』ばかり読みがちだけど、原典を複数回読んだ方が絶対インテリになれるわけです

2011/06/18

ころこ

最近プラトンを読んだことで、今まで再読して気付かなかった、ソクラテスがイエスのパロディであり、ヨーロッパ的思考を覆っている元凶だという箇所が印象に残りました。プラトンの対話篇を読んだときに感じた、当たり前のことを滔々と語るソクラテスの凡庸さや道徳的決めつけに違和感を持っていた根源が、ニーチェの道徳批判と重なる所にあったのではないかという直感は、確信のようになりました。トランプ現象で有名になったPC批判を、否定神学的だというのは、まさに神は死んだというニーチェの言葉そのものでないかという偶然にも驚きます。

2017/04/09

きざはし

道徳とはルールをすり替えることによる弱者の復讐(ルサンチマン)である。道徳的価値判断は現在では常態化しすぎて意識できなくなっているが、それはキリスト教(さらに遡ればソクラテス)が敷衍させた倒錯した価値判断と言える。そしてニーチェは、このすり替えられたルールを乱用し二重の勝利を味わう強者たちを強く嫌悪する。←こんな感じ?いくつかの寄稿の寄せ集めであり、順序立った説明をしている本ではありません。

2010/08/08

ころこ

3回目の再読ですが、ようやく、読んだという手ごたえがありました。ルサンチマンがヨーロッパを覆う、ということは形而上学全体が、もはや道徳的価値から逃れられないということを、超越論的だというように表現しています。これは、ウィトゲンシュタインの「語りえぬもの」に繋がる、ということで、永井さんがニーチェに興味を持たれたということが分かりました。

2016/10/09

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