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猫の木のある庭 (河出文庫)

猫の木のある庭 (河出文庫)

猫の木のある庭 (河出文庫)

作家
大濱普美子
出版社
河出書房新社
発売日
2023-07-06
ISBN
9784309419756
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猫の木のある庭 (河出文庫) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

どことなく、淫靡な「フラオ・ローゼンバーグの靴」に惹きこまれる。穿くと持ち主であったふくよかな夫人に変わるかのように食生活を変えた靴。世間で未だ、高らかに詠われる「痩せによる美貌」信仰とは真逆の、絵画的で密やかでいてヒューマニズムと甘やかさに満ちた幸せの描写に取り込まれてしまった。だからこそ、Mの計らいは恨めしい。予想が当たっていたらあいつこそ、泥棒猫じゃないか。「浴室稀譚」は椎名林檎さんの「浴室」をBGMに聞いていました。実生活の代り映えしない日常を送るが故に虚構での破滅性がありながらもドラマチックな様

2024/01/01

優希

不思議な感覚に陥る短編集でした。白昼夢のような静謐さがあります。幻想的で残酷な美しさが印象に残ります。

2023/08/12

ざるこ

6篇。幻想譚というより白昼夢の方が近い感覚かも。意図的なものなのか時代がわかりにくかったり場面転換が唐突だったりで捉えどころがないまま読まされる。その靄のかかったような雰囲気の中のリアルの生々しさが妙に心に残る。「浴室稀譚」結末がはっきりしないままなのに銭湯で出会ったマチ子さんとの入浴や自転車旅の汗の流れる感覚やタイルのひんやりした感触が肌にいつまでも残ってるのがとても不思議。「たけこのぞう」ちょっと変わった画家の母との暮らし。異様なようだけど最後に母としての温かさ、人としての芯のようなものが感じられる。

2023/08/14

サンタマリア

読んでいる最中は現実、振り返れば非現実。不思議な小説でこれは夢。

2023/07/31

ベル@bell-zou

子供の頃住んでいた実家の裏庭やそこへ続く脇道と勝手口。何の謂れも曰くもないと知っているのに暗くひんやりとした何かが潜み淀んでいる気がしたものだ。そんな古い記憶と物語の情景が重なるのを感じつつ。こんな庭は嫌だ「猫の木のある庭」、こんな靴も嫌だ「フラオ・ローゼンバウムの靴」、帰って来たのはいつ「盂蘭盆会」、秘密の金庫と近道と「浴室稀譚」、ぷるるん「水面」、超エキセントリックな母が遺した愛の形「たけこのぞう」。得体が知れなくて悲しくて淋しくて温かくて。人の心ほど惑い惑わされるものはないのかもしれない。

2023/11/16

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