千年の祈り (河出文庫 リ 4-3)
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千年の祈り (河出文庫 リ 4-3) / 感想・レビュー
みゃお
近くて遠い隣人の短編集。 作家の人生も作品になりそうな経歴。 ”母語で話せないことを 獲得した他言語でなら語れる。” なんとなくわかるような気がします。 言葉は、文化や歴史でもあるのだろうと。 知らずに呪縛されていることも。
2024/01/28
いちの
一般市民の暮らしと歴史や政治が紐づいていることが伝わる小説。とても面白かった。変わり者とみなされるような登場人物が多いけれど、心理描写が丁寧だからかすんなり入ってきて、共感することが多かったです。他の作品も読んでみたい。
2023/11/09
石
読み終わってほっと吐息が漏れた 収録作品すべてが高水準の傑作短編集 脇役たちがやたら殺伐としているのは文化大革命の影響なのだろうか 悩み苦しむ登場人物たちに声をかけてあげたくなる あなたたちは皆立派に生きている、私は心から賞賛すると
2024/01/22
梅子
実験的な作品も多いが、題材はどこか古典的で味わい深い短編集。どれも自分ごとに思えてちょっとしんどかった。表題作は流石の面白さなんだけど、それよりも『不滅』に魂を持っていかれた。先祖代々宦官を輩出してきた鎮の、辛亥革命以降の様子も興味深いが、そこに共産党の某独裁者とそっくりの顔で生まれ落ちた男の一生が、かつて宦官が背負わされてきた理不尽なソレとだんだんダブって見えてくるところで背筋がゾワリとなった。しかも視点人物は「鎮」そのもの。共同体の目が、まるで自分の手足の一部のように男を描写する。凄すぎる。
2024/04/13
Ise Tsuyoshi
「アメリカでは個人を重視するあまり共同体の声を失ってしまったが、その声は日本などアジアの小説には存在する」。イーユン・リーが師事したマクファーソンの言葉が訳者あとがきで紹介されているが、この共同体の声が見事に描き出されているのがリーの作品。古くからの習慣・価値観と葛藤しながら生きる人々の姿は、国を超えて響いてくる。「千年の祈り」の娘の叫びは、著者自身の言葉か? 「自分の気持ちを言葉にせずに育ったら、ちがう言語を習って新しい言葉で話すほうが楽なの。そうすれば新しい人間になれるの」
2023/11/26
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