KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

古事記ワールド案内図 (河出新書 060)

古事記ワールド案内図 (河出新書 060)

古事記ワールド案内図 (河出新書 060)

作家
池澤夏樹
出版社
河出書房新社
発売日
2023-05-24
ISBN
9784309631646
amazonで購入する Kindle版を購入する

古事記ワールド案内図 (河出新書 060) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

tamami

著者は以前、『日本文学全集』の『古事記』を現代語訳していて、本書は、古事記の全体を俯瞰するガイドブックと、その後の訳者の胸に兆した事柄の、落ち穂拾いも兼ねているという。『古事記』全体は、長くて読みにくいという読者にとっては、著者が大胆に摘まみ上げた抄訳本ともいえるもので、その成立事情や概要とともに、夥しい神名や人名を整理し、文学作品としての愉しみ方も教えてくれる。『古事記』とはどういう書物だろうか、少しでも近づきたいという希望を持つ向学の読者にとっては、文字通り『古事記ワールド案内図』ということになろう。

2023/06/03

Yoshihiro Yamamoto

A 古事記にはたくさんの神様が登場するのでいつもこんがらがってしまい、最後まで読んだことがない。著者によると312柱の神様が登場するのだそうだ…どうりで!よく数えたものだと感心したが、その著者にして「国史である日本書紀と同時期になぜ古事記が書かれたのか?」が最大かつ根源的な謎なのだそうだ。「ホ(穂・稲)」が付く神様の名前のことや、恋愛の歌で詠まれた地名が勢力範囲を表しているという考え、三韓征伐に向かったのは、北では稲が取れなかったため、など興味深く読んだ。そして何より、古事記再トライに誘う案内図だった。

2023/08/05

SAT(M)

少し前まで読んでいた家畜人ヤプーに、古事記のパロデイがたくさん出てきたのですが元ネタをあまり知らなかったので勉強しようと。神話と聞くと、その裏にある寓意やメッセージなどを読み解こうと身構えてしまいますが、どうやらそういう類の物語ではなさそう。本筋というものを持たない雑多な話と見えてしまうのですが、子供の頃に何か物語を作ろうとするとこんな感じじゃなかったろうか。「起承転結をつけろ」的な強迫観念に毒される以前、何にも制約されずに作られ語られた、無邪気なプリミティブな創造性の集合体なんだろうな。

2023/12/02

まさにい

文庫版古事記を読むための参考書として購入。良かった。古事記を読もうと思ったのは、憲法の信教の自由が、もともとは、欧米の考え方(一神教的)を元に規定されていたから。では、多神教たる日本ではどのように考えるのがいいのかを探るためっだった。つまり宗教に関する寛容性をどのように捉えるべきか、からだった。古事記で不思議だったのは、大国主の国譲り。この点、この本を読んで、大国主は1人の名称ではなく、有力地方豪族の総称であると言うことが判る。なるほどなぁ、また、中・下については同著書の古事記をみて初めてその内容を知る。

2023/10/14

著者による古事記の面白さの紹介でありながら、分析の巧みさも堪能できる。神々、地政学、天皇、詩歌……という章立てで、古事記というとっつきにくそうな素材を複数の視点から解説している。翻訳者が翻訳するにあたって、原作をどのように解剖しているかも垣間見え、興味深い。

2023/10/06

感想・レビューをもっと見る