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新しい天体 (光文社文庫)

新しい天体 (光文社文庫)

新しい天体 (光文社文庫)

作家
開高健
出版社
光文社
発売日
2006-11-09
ISBN
9784334741600
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新しい天体 (光文社文庫) / 感想・レビュー

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harass

題名と簡単な内容だけを覚えていた本をようやく手に取る。1974年刊。美食家サヴァランの名言からとった題名の小説。大蔵省の役人が主人公で彼の仕事は余った予算で全国のうまいものを食べ歩くことに。まずはたこ焼きから。小説というよりもルポやエッセイに近い。全部調べたわけではないが実在の店で今も残っている名店が多い。究極的にはあれが一番ということになるのか。そしてどんな食べ物も…… 久しぶりのこの作家の語彙力と表現力に唸ってしまう。美食家で有名だった関西人らしい作品。おすすめ。

2019/09/18

harass

明石焼き『それは香ばしく焼きあがっていて、ほどよく焦げめがつき、快活でありながら、頬ばると小さいくせに豊満なものがつつましやかさをよそおいつつ口のなかへあふれてくる。むにゃむにゃと柔らかくて熱い身のなかを舌のさきでまさぐっていると、小さな小さなタコのかけらにあたる。それを噛ンでのみこんだあともう一コ入っていないかとまさぐっても細胞核は一つの細胞に一コだときまっているから、憎いことに舌は迷うだけである。そこでいそいでもう一コと箸がのびることになる。』※引用ミスって書き直しました。ナイスくれた人すいません。

2019/10/01

としちゃん

税金を使ってとにかく食べて食べて食べまくるというだけのストーリーなのですが、開高健先生の知識と好奇心と胃袋と筆にかかると、並外れた傑作になる。いわゆるテレビのグルメ番組を見るよりも、味、食感、匂い、温度、さらに喉を通るときの感覚までもが伝わってくる。いや〜すごいです。願わくばもっと長生きして、今の情報化の時代の中で、もっともっと食紀行をしていただきたかった。最後にの終わり方も、さすがです。参りました。

2016/02/17

ううち

この本のたこ焼きが紹介されていて購入。初読み作家さん。タイトルからでは内容が想像出来ないので紹介されていなかったら出会わなかった作品。食材がとてもエロティックに表現されていたり、この時代の本って偏差値が高くて、同年代だろう主人公も大人に感じる。 結末は…笑ってもいいところなのかな?難しい。大蔵省の予算を使い切るために税金であちこちに飛んで食べ歩きしてるということがどうにも引っ掛かっていけない。

2023/05/01

そうぺい

自家発掘本。再読多々多。バイブルの一つ。開高健師匠のこの本は小説でもありルポ紀行でもあり…とフィクとノンフィクがぬらぬらと混じりあってます。実は、見目麗しき幼少期に師匠の小説を親か教師から薦められて読んだ(確か『裸の王様』)のが最初の出会いでしたが、さっぱり面白くなく、苦行でした笑笑 しかし、ある時食にまつわる短いエッセイを読んだとき、内容と文体とに度肝を抜かれたんですね。以降、食に関する文章で師匠以上の存在にあったことはありません。心地よさだけではない唯一無二の真似ができない文章です。目標として。

2021/04/12

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