白いページ (光文社文庫 か 40-8 開高健エッセイ選集)
白いページ (光文社文庫 か 40-8 開高健エッセイ選集) / 感想・レビュー
奥澤啓
開高健のエッセイは『白いページ』と『開口閉口』がいい。かつては文藝春秋社から『開高健全ノンフィクション』というシリーズがあった。上品な造本とカバーが秀逸であった。揃いで古書で手に入るので興味のある方は探してください。開高のエッセイはその旺盛な好奇心、博覧強記、粘着質の文章が支えている。軽い文章になじんだ現在の日本人にはかなり重量級なので、好き嫌いが分かれるかもしれない。バブル直前から始まったグルメブームは、開高の食エッセイが飛翔させたといえる面がある。そして、その最高峰が『最後の晩餐』である。
2015/02/26
瓜坊
小説家のエッセイ集。心と身体と周りの事象がバラバラになった時にパラパラと捲る本。開高健の他の作品全般に言えることだけれど食やら釣りやら酒やらの欲をこんなに素直で饒舌で、でも流麗に語る。一編ごとに欲求を消化して昇華できる。だから心も身体も全てが一体化できる環境で読みたいので、私はトイレに置いてます。ネットで調べると案外「トイレ本」として読む人がいて「ああ同志」と納得。アウトプットも大事だけれどインプットも大事なわけですな。白いページがそういう意味にも見えてきた。好きすぎて棺桶に入れるには惜しいと思う本。
2017/01/15
DEE
再読。 数ある開高健のエッセイではこれが一番好き。 特に「弔む」という章。 ベトナム戦争時、ジャーナリストとしてある部隊にカメラマンの秋元啓一氏と同行した著者。 しかし襲撃にあい命からがら前線から帰還。終わってみれば助かったのは200人中わずか17名。 だからその日は自身の命日とし、外界との繋がりを全て断ちただひたすらに二人で酒を飲む。 この光景がなんとなく目に浮かぶようでいつまでも印象に残る。
2017/05/26
こばちん
芳醇で濃厚な文体は開高健独特でクセになる。最近はこういう文章を書く作家がいなくなったなぁ。読書することの幸せを感じるエッセイ集。
2017/03/30
Haruka Fukuhara
面白かった。享年58。太く短く人生を楽しんだのだろう。今度はもう少し力の入ったものでも読んでみたい。これは気楽に読める短いエッセイの詰め合わせ。
2017/02/05
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