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レオナール・フジタのお守り (光文社文庫 お 33-9)

レオナール・フジタのお守り (光文社文庫 お 33-9)

レオナール・フジタのお守り (光文社文庫 お 33-9)

作家
大石直紀
出版社
光文社
発売日
2023-02-14
ISBN
9784334794910
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レオナール・フジタのお守り (光文社文庫 お 33-9) / 感想・レビュー

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しんごろ

改めて戦争はろくでもないと思う。戦争のせいで、昇治とさゆりの縁がきれてしまうとは。さゆりの妹の文乃。好きで愛してやまないゆえの行動。わからないわけでもない。昇治の元妻の明日香がいなければ、三人の数奇な運命の真実をわからないままだっただろう。元妻といえ明日香は昇治のことが好きなんだろうな。そして、藤田嗣治の絵(レオナール・フジタ)。味わいがある。絵がこの物語にいいアクセントを与えてくれる。三角関係に美しいとかないけど、美しい三角関係と思えてしまう。面白いけど、ちょっと物足りなさも感じないわけでもない。

2023/08/06

「ノルマンディーの春」の絵画が実在するとのことで、見に行きたくなりました。戦時中に結婚の約束をしていたさゆりと昇治。戦後、戦死したと思っていた昇治が復員した時にはさゆりは結婚しており。戦後日本にはあるあるだった話の設定でした。さゆり側の家庭のこれまでを紐解くのが少しミステリーチックでした。家族が路頭に迷わない為に決断したこと、家族の為に辛抱したこと、家族の幸せの為に秘密にしていたことがある。真実を知るには昇治も年をとり遅すぎたし、叶わぬ相手だったとしても生きている内にさゆりと再会してほしかったな。

2023/06/17

のんちゃん

病を患っている老作家昇治のもとに、50年前、戦争によって別れた恋人さゆりからの手紙が届く。そこには一度会って伝えたい事があると書かれていた。そこから昇治は己の過去と向き合っていく事になる。戦争は家族の喪失や貧困だけでなくこの物語の様な悲劇も沢山もたらしたのではないかと想像できる。藤田嗣治画伯がフィクションとして登場するが、絵画ファンにはちょっとという扱いかもしれない。が、絵画に何の知識もない私はこの作品で表紙絵の作品も初めて知り実物を観たくなった。昇治の元妻の明日香の行動力が今回の謎解きの功労賞だ。

2023/05/29

エドワード

学徒出陣する京都帝国大学の学生・田中昇治は、恋仲の村田さゆりに「必ず帰る」と誓って戦地へ赴く。京都大学前の日仏学館、藤田嗣治の「ノルマンディーの春」の前で。私も見たことがある絵画だ。復員した昇治は、自分の戦死の誤報を知り、さゆりの結婚と娘までいることに愕然とする。想像を絶する太平洋戦争後の混乱。戦死の誤報ほど罪なものはない。昇治と元妻で日本画家の明日香は、平成の世に、過去の悲恋の真相を探る。「恐ろしい偶然が重なったのです」とは金田一耕助のセリフだが、まさにその通りだ。明日香の優しさが溢れる終幕がいい。

2023/03/27

omo

学徒出陣が決まった昇治は、絵画「ノルマンディーの春」の前でさゆりと結婚を誓う。けれど戦争は2人の運命を引き裂いてしまう…。京都を舞台にとても儚く美しいプロローグだったけれど、何だか早足で物語が進んでしまって少し残念でした。昇治やさゆりの戦時中や戦後の体験がすべて説明で終わってしまったし、藤田画伯やノルマンディーの春に纏わる物語をもっと書いてほしかったかな。絵画が絡んでしまうと原田マハさんと比べてしまう。やっぱりマハさんの絵画愛はすごいなぁ…。エピローグの明日香の遺作のシーンはとても素敵でした。

2024/04/10

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