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友だちの友だち (バベルの図書館)

友だちの友だち (バベルの図書館)

友だちの友だち (バベルの図書館)

作家
ヘンリー・ジェイムズ
出版社
国書刊行会
発売日
1989-01-01
ISBN
9784336025692
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友だちの友だち (バベルの図書館) / 感想・レビュー

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KAZOO

ヘンリー・ジェイムズの本は「ねじの回転」「鳩の翼」「ボストンの人々」「デイジー・ミラー」を日本語で、それとこの本の表題作になっている「友だちの友だち」「ヨーロッパ人」を大学時代に英語で読みました。「友だちの友だち」は用語は難しくないのですが当時は文章内容が全然理解できなくて、やっと日本語で読むことができました。すっきりしたかと思うとそうでもなく、他の作品も3作収められていますが心霊的な内容が多く日本語で読んでもかなり理解がおぼつかない感じでした。再読しないとだめですね。

2022/08/28

藤月はな(灯れ松明の火)

再読。何度、読んでも掴めないヘンリー・ジェイムズ作品。事象をとことん、客観的、細やかに描きながらも語り手(当事者でない場合もあり)の言葉でしか捉える事ができない文体で成り立っている作品達。つまり、あらゆる可能性を読者に考えさせるように仕向けているのだ。しかし、人は自分の捉えた考えに固執しがちで自分が思った事以外の事が複数、あるという事を無視してしまう。そしてそれが真実だとは限らないのが掴みづらい原因だと思います。表題作は久しぶりに読んだけど、語り手の女性の性格の悪さと意固地さに寒気がしてしまった。

2020/03/14

NAO

ボルヘス編纂の短編集。 「私的生活」と「ノースモア卿の転落」は、世間でたいした人物と称されるいわゆる「巨匠」の実態はいかがなものか、ということが描かれている。「ノースモア卿の転落」は、かなり辛辣。「オウエン・ウィングレイブの悲劇」と「友だちの友だち」は、ちょっとオカルトがかった話。イギリス人にとっては、幽霊は結構身近な題材なのかもしれない。ただ、「オウエン・ウィングレイブの悲劇」は、軍人になりたくないというオウエンの強い意志と一族の館での彼の死は関連性があるのかどうなのかよくわからなくて、?な話だった。

2024/04/14

星落秋風五丈原

「ノースモア卿夫妻の転落」ホープとノースモア卿の関係は常にいびつだった。ノースモア卿が不要になった恋人をホープに押し付けたと思い込んでいる夫人は、二重三重に復讐心を募らせていく。ホープが生前ノースモア卿をどう思っていたか、ホープ夫人が感じている夫の才能と世間一般の才能との間に乖離がないのか等、第三者の視点が入らないため、一種の妄想によって密かな復讐が進行する。もし彼女が信じている土台が嘘だったら?あれはホープの復讐だったのか?思い込みと現実の境目、一人の人間の外見と内面の曖昧な中を進む怖さ。

2021/04/25

内島菫

「私的生活」では、公的生活は空っぽだが私的生活では誰の目に触れないながらも才能を発揮する人と、公的生活しかなく私的生活はその妻さえ目にしたことのない人が対照的に、しかし裏表のように描かれている。前者の私的生活におけるもう一人の彼は分身でありつつも本物としても扱われるが、分身は逆説的にその人の欠陥を露わにするものであり、後者の完璧さは大きな空虚を内包するという点で、両者は同じものであるだろう。「オウエン・ウィングレイヴの悲劇」と「友だちの友だち」では、幽霊の存在が主人公たちに大きな影響を与える。

2018/07/05

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