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アリアドネの声

アリアドネの声

アリアドネの声

作家
井上真偽
出版社
幻冬舎
発売日
2023-06-21
ISBN
9784344041271
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「アリアドネの声」のおすすめレビュー

見えない、聞こえない、話せない、の三重障害の女性を地下から救え!救助災害ドローンを操って困難に立ち向かう災害救助小説『アリアドネの声』

『アリアドネの声』(井上真偽/幻冬舎)

 井上真偽氏の『アリアドネの声』(幻冬舎)は、その設定からして興味を掻き立てる小説だ。舞台は近未来的な地下都市。そこで巨大地震が発生し、見えない、聞こえない、話せない、の三重障害を抱える女性、中川博美が地下施設に取り残された。消防隊らが彼女をドローンで誘導して避難させようとするも、音も光も届かない地下への救助は難航する。運命はドローンを操る青年の指先に託された――。これがおおまかなあらすじである。

 率先して救助にあたるのは、訳あって救助災害ドローンの製作会社に在籍するハルオ。この「訳あって」という部分はのちに開示されるのだが、ここでは詳述を避けよう。ハルオは仕事でたまたま訪れた地下都市で、巨大地震に遭遇。ドローンを操る技術を買われ、救助の最前線で奮闘する。

 救助の描写が終始スリリングだ。中川の救助は、文字通り何度も何度も困難にぶちあたるが、その都度、救命チームが思いも寄らぬ妙案を思いつく。一進一退の攻防の中、ハルオは身体に不調をきたしながらも、必死でドローンを操る。満身創痍で難題に立ち向かう彼の姿に胸を打たれ…

2023/8/14

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アリアドネの声 / 感想・レビュー

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パトラッシュ

地震で崩壊した地下都市に閉じ込められた盲聾唖の女性を、災害救助用ドローンを使って救出するドラマとは世界初の設定。ハリウッド映画なら登場人物の思惑や過去を付け加えるだろうが、助け出せるか否かに焦点を絞っているため物語がストレートで読ませる。「無理と思ったらそこが限界」とは昭和的なセリフだが、それほどの気持ちがあればこそ主人公は人命救助に献身できるのだ。途中で要救助者の障害が本物か疑惑が生じたり、やはり唖者である友人の妹が行方不明になる事件が起こるが、全てが結びつくラストはエンタメの見本的な鮮やかさで決まる。

2023/07/21

青乃108号

まず先に言わせてもらうと、俺はこの本の単行本ソフトカバーという装丁が、読みにくくて嫌いだ。ページの紙が厚すぎるせいもあって、とても開きにくくて、大いにストレスを感じた。当然、装丁も含めて1冊の作品なのだからこの時点で大きく減点。肝心の内容については。何とも軽い。かなりの大惨事が起きており(見えない・聞こえない・話せない)たった1人の生存者を災害派遣用ドローンで時間内に救出せねば、という切羽つまった話なのに、何か軽い。俺が思うに、文章が足りない。各場面毎に2割程度の文章の不足を感じてスカスカの印象。惜しい。

2023/08/14

ナルピーチ

『見えない・聞こえない・話せない』の三重障害のある盲ろうの女性が、巨大地震によって地下の施設に取り残されてしまう。絶体絶命の状況の中で、ドローンを駆使した救助活動が始まった…。コミュニケーションの取れない状況でどうやって意思疎通を図るのか。荒れ果てた建物内をどう誘導していくのか。緊迫感がリアルに伝わる読書体験を堪能。都合良過ぎな部分もあるなぁと思ってたら、最後に納得の種明かし!なるほど、これはグッときちゃうな。地震大国の日本にとっては今後起こりうる救助活動のモデルケースのひとつになるかも知れない良き一冊!

2023/09/16

stobe1904

【このミス2024第5位】巨大地震が発生し、地下施設に取り残された女性を救うべく災害救助用のドローンを操るハルオだが、その女性は目が見えず、耳も聞こえない障害を持っていた…。幼い頃に兄を救えなかったハルオの救出にかける思いと、上階は火災、下階は浸水の中であの手この手で救出を試みる息詰まる展開に読む手が止まらない。取り残された女性の救済と謎解きだけでなく、ハルオ自身の救済で終わるさわやかなクロージングは読後感がとても良い。ランキング上位も納得の面白さだった。★★★★★

2024/03/20

うっちー

エンタメ小説。映像化すると良いかもしれません

2023/10/18

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