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その桃は、桃の味しかしない (幻冬舎文庫)

その桃は、桃の味しかしない (幻冬舎文庫)

その桃は、桃の味しかしない (幻冬舎文庫)

作家
加藤千恵
おかざき 真理
出版社
幻冬舎
発売日
2013-08-01
ISBN
9784344420595
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その桃は、桃の味しかしない (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー

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優希

静かな小説なのに苦しみがあります。平井という同じ男性の愛人である奏絵とまひる。2人は高級マンションに同居していますが、恋敵でありながら何処か割り切っているところがあるようです。歪んでいる日常とあり得ない生活ですが、優しくて甘さが漂っているのが不思議です。でも苦しみを感じるのは恋敵の距離が縮まる中で均衡を失っていくまひると痛い程受け止めようとする奏絵の関係があるからでしょう。感情が少なく、低い温度だからこそ不安定で、無意識に傷ついているような気がしました。決して消えない傷として2人は永遠なのですね。

2015/03/15

ゆのん

主人公・奏絵は高級マンションでまひるという女性とルームシェアしている。2人の関係は同じ男性の愛人だという事。妻子がいて、更に愛人2人。しかもその愛人を同居させ、家賃、光熱費、生活費を出しているという男に驚く。男を愛するあまり心身共にバランスを崩すまひる。主人公はそんなまひるを低い温度で見つめ、男に対しては『拾われた』という言葉を使い、個人を捨ててしまったかのよう。不倫にありがちな妻への電話。夫の愛人からの突然の電話にも冷静で動じないのが印象的。共感出来ないものの主人公の心の変化の描写は良かった。

2023/10/08

なゆ

同じ部屋に住む奏絵とまひるは、ふたりとも平井さんという既婚男性の愛人。友人同士のように暮らしながら平井さんが通ってくるのを待つという、ありえないような日々。なのに不思議とドロドロしたところがない、静かな話。この生活を冷静すぎる目で見つめる奏絵の、平井さんに対する気持ちがイマイチよく見えないな。むしろまひるの反応や心情が正しい愛人らしさか。こんな生活、そんなに続くワケないとは思っていたが、ラストはちょっと小気味いいようで、それでうまくいく?という疑問も。それはそうと、平井さんってそんなにも魅力的なの?

2016/06/05

じょんじょん

読友さんのぼろくそレビューが面白くて、逆に興味を惹かれました。設定が女性には、より抵抗があると思います。でも読み始めると設定から想像される非倫理感は薄く不思議な透明感と不安感に包まれました。西加奈子さんが解説で書かれていますが、主人公の「徹底した諦観」よるものなのですね。幼いときの母との関係での期待され捨てられた感が主人公を支配し、それが「拾われた」環境で自己を感じられない中で危うい関係性が保たれていたと思います。ラストの発言は「命をかけて選んだ言葉」だし「誰にもおかされない強さ」だと自分も感じました。

2019/05/24

果実

久しぶりの遅読はこの本になりました。「同性愛的」だという噂とタイトル、装丁より。 愛人同士の暮らしなのに全くドロドロしていない。淡々と静かに、でも確実に過ぎていく日々と、確かに同性愛的な耽美な箇所に強く惹かれました。ゆっくり読むのにもぴったりでした。戻してくれて、ありがとう。

2014/09/04

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